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October 23, 2008 Vol. 359 No. 17

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進行大腸癌における K-ras の変異とセツキシマブの有益性
K-ras Mutations and Benefit from Cetuximab in Advanced Colorectal Cancer

C.S. Karapetis and Others

背景

化学療法が奏効しなかった大腸癌患者では,上皮成長因子受容体に対するモノクローナル抗体であるセツキシマブ(cetuximab)を用いた治療により全生存期間と無増悪生存期間が改善され,QOL が維持される.腫瘍の K-ras 遺伝子の変異状態は,セツキシマブへの反応を左右する可能性があり,治療とは独立した予後予測因子としての有用性がありうる.

方 法

大腸癌患者 572 例を,セツキシマブと対症療法(best supportive care)を併用する群と,対症療法を単独で行う群に無作為に割り付け,394 例(68.9%)から採取した腫瘍サンプルを分析して K-ras 遺伝子のエクソン 2 にある活性化変異を探索した.K-ras 遺伝子の変異状態が,セツキシマブ群・対症療法単独群のそれぞれの生存期間と関連を示すかどうかを検討した.

結 果

K-ras の変異について検討した腫瘍の 42.3%で,遺伝子のエクソン 2 に変異が 1 つ以上認められた.セツキシマブの有効性は K-ras の変異状態と有意に関連していた(K-ras の変異状態と全生存期間,無増悪生存期間との相互作用についてそれぞれ P=0.01,P<0.001).K-ras が野生型の腫瘍を有する患者では,セツキシマブで治療した場合,対症療法単独と比べて,全生存期間(中央値 9.5 ヵ月 対 4.8 ヵ月,死亡のハザード比 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.41~0.74,P<0.001)と,無増悪生存期間(中央値 3.7 ヵ月 対 1.9 ヵ月,進行または死亡のハザード比 0.40,95% CI 0.30~0.54,P<0.001)が有意に改善した.K-ras が変異した腫瘍を有する患者では,セツキシマブ群と対症療法単独群のあいだで,全生存期間(ハザード比 0.98,P=0.89),無増悪生存期間(ハザード比 0.99,P=0.96)に有意差は認められなかった.対症療法単独群では,K-ras 遺伝子の変異状態と全生存期間のあいだに有意な関連は認められなかった(死亡のハザード比 1.01,P=0.97).

結 論

セツキシマブの有益性は,K-ras が変異した大腸腫瘍を有する患者では認められなかったが,K-ras が野生型の腫瘍を有する患者では認められた.対症療法単独群では,K-ras 遺伝子の変異状態は生存期間に影響を及ぼさなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00079066)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1757 - 65. )