October 30, 2008 Vol. 359 No. 18
C 反応性蛋白の遺伝的な増加と虚血性血管障害
Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease
J. Zacho and Others
C 反応性蛋白(CRP)値の上昇は,虚血性心疾患と虚血性脳血管障害のリスク増加と関連している.この関連に因果関係があるかどうかを検討した.
虚血性心疾患を発症した 1,786 例と,虚血性脳血管障害を発症した 741 例を含む,一般集団コホートの 10,276 例について検討した.また,一般集団を対象とした別の横断的研究の,虚血性心疾患を発症した 2,521 例,虚血性脳血管障害を発症した 1,483 例を含む 31,992 例についても検討した.最終的に,虚血性心疾患を有する患者 2,238 例と対照被験者 4,474 例,虚血性脳血管障害を有する患者 612 例と対照被験者 1,224 例を比較した.高感度 CRP 値を測定し,4 つの CRP 遺伝子多型と,2 つのアポリポ蛋白 E 遺伝子多型の遺伝子型を決定した.
CRP 値が 3 mg/L を超える被験者では,CRP 値が 1 mg/L 未満の被験者と比較して,虚血性心疾患のリスクが 1.6 倍,虚血性脳血管障害のリスクが 1.3 倍増加した.4 つの CRP 遺伝子多型の遺伝子型の組合せによって CRP 値に最大 64%の上昇がみられたことから,理論上は虚血性心疾患リスクが最大 32%,虚血性脳血管障害リスクが最大 25%増加すると予測された.しかし,これらの遺伝子型の組合せは,虚血性血管障害のリスク増加とは関連していなかった.これに対し,アポリポ蛋白 E 遺伝子型は,コレステロール値の上昇と虚血性心疾患リスク増加の双方と関連していた.
CRP 遺伝子多型は CRP 値の著しい上昇と関連しているため,理論上は虚血性血管障害リスクが増加すると予測された.しかし,これらの遺伝子多型は,それ自体は虚血性血管障害のリスク増加と関連していない.