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November 6, 2008 Vol. 359 No. 19

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早期発症喘息における 17q21 の変異と受動喫煙の影響
Effect of 17q21 Variants and Smoking Exposure in Early-Onset Asthma

E. Bouzigon and Others

背景

ゲノムワイド関連研究により,染色体 17q21 の変異と喘息リスク増加との関連が示されている.この遺伝子座と喘息の関係を明らかにするため,喘息の遺伝要因と環境要因に関する疫学研究(Epidemiological Study on the Genetics and Environment of Asthma)で得られた表現型と環境に関する広範なデータを含む,大規模な家族ベースのデータセットを検証した.

方 法

372 家族 1,511 例について,17q21 領域の一塩基多型(SNP)36 個と喘息との関連を検討した.また,喘息の発症年齢および幼少期の受動喫煙に基づく遺伝的不均一性についても検討した.

結 果

11 個の SNP が喘息と有意に関連しており(P<0.01),そのうち 3 個(rs8069176,rs2305480,rs4795400)はとくに強い関連を示した(P<0.001).順位付けサブセット回帰分析に基づき,4 歳以下で発症した患者を早期発症喘息として分類した.早期発症喘息との関連は高度に有意であったが(4 個の SNP について P<10-5),4 歳以降に発症した喘息(後期発症喘息)との関連は認められなかった.幼少期の受動喫煙に関しては,曝露のあった患者にのみ早期発症喘息との有意な関連が認められた(6 個の SNP について P<5×10-5).最良の適合を示す劣性遺伝モデルによると,受動喫煙に曝露されていた群では,もっとも関連の強い SNP(rs8069176)がホモ接合(GG)の場合は,その他の遺伝子型(AG または AA)の場合に比べてリスクが 2.9 倍高くなった(P=2.8×10-6,受動喫煙曝露群と非曝露群で SNP の不均一性が早期発症喘息に及ぼす影響を比較した検定では P=0.006).

結 論

この研究では,17q21 の遺伝子変異による喘息のリスク増加は早期発症喘息に限定されていること,またそのリスクは幼少期の受動喫煙によりさらに高まることが示されている.これらの知見は,17q21 の変異が喘息の病態生理に果たす機能的役割について,さらに理解を深めるものである.

本論文(10.1056/NEJMoa0806604)は,2008 年 10 月 15 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1985 - 94. )