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December 11, 2008 Vol. 359 No. 24

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乳児に対するマラリアワクチン RTS,S/AS02D の安全性と免疫原性
Safety and Immunogenicity of RTS,S/AS02D Malaria Vaccine in Infants

S. Abdulla and Others

背景

マラリアワクチン RTS,S/AS は,世界保健機関(WHO)の予防接種拡大計画(Expanded Program on Immunization:EPI)を通じて広めるために開発中である.われわれは,RTS,S/AS02D を,乳児の標準的 EPI スケジュールに組み込むことの実行可能性について検討した.

方 法

この単一施設二重盲検対照第 2B 相試験では,タンザニアのバガモヨの乳児 340 例を対象とし,生後 8 週,12 週,16 週の計 3 回にわたり,RTS,S/AS02D ワクチンを投与する群と,B 型肝炎ワクチンを投与する群に無作為に割り付けた.またすべての乳児に,ジフテリアと破傷風トキソイドワクチン,全細胞百日咳ワクチン,インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae) b 型結合型ワクチン(DTPw/Hib)を接種した.主要評価項目は,9 ヵ月の監視期間における重篤な有害事象の発生,および RTS,S/AS02D ワクチンを同時接種した EPI ワクチン(DTPw/Hib と B 型肝炎ウイルス表面抗原)の反応に対する非劣性が示されることとした.副次的評価項目は,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)スポロゾイト周囲蛋白に対する抗体の検出と,マラリア感染に対する有効性とした.

結 果

1 件以上の重篤な有害事象が,RTS,S/AS02D ワクチン群 170 例中 31 例(18.2%,95%信頼区間 [CI] 12.7~24.9),B 型肝炎ワクチン群 170 例中 42 例(24.7%,95% CI 18.4~31.9)で報告された.この結果から,EPI 抗原への抗体応答に関する RTS,S/AS02D ワクチンの非劣性が示された.接種後 1 ヵ月の時点で行った酵素免疫測定法(ELISA)により,RTS,S/AS02D ワクチン群の 98.6%で抗スポロゾイト周囲蛋白抗体について血清陽性の抗体価が認められた.3 回目の接種後 6 ヵ月間では,P. falciparum マラリアの初回感染に対する RTS,S/AS02D ワクチンの有効性は 65.2%であった(95% CI 20.7~84.7,P=0.01).

結 論

乳児に対する RTS,S/AS02D ワクチンの使用には有望な安全性プロファイルが示され,同時接種した EPI 抗原に対する免疫応答に干渉することなく,マラリア感染率を減少させた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00289185)

本論文(10.1056/NEJMoa0807773)は,2008 年 12 月 8 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2533 - 44. )