The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 17, 2008 Vol. 359 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

英国の医師による pay-for-performance の対象からの患者の除外
Exclusion of Patients from Pay-for-Performance Targets by English Physicians

T. Doran and Others

背景

英国の「実績に基づく支払い(pay-for-performance)」プログラムでは,医師は一連の基準を用いて,報酬を決定する医療の質の算定から個々の患者を除外する.例外報告(exception reporting)と呼ばれるこのプロセスは,収入を最大限に増やそうとする医師による不適切な治療から患者を守るためのものである.しかし,例外報告により,医師は自分の利益につながらない患者を不適切に除外すること(ゲーミング [gaming] として知られる行為)もできるかもしれない.

方 法

英国の家庭医診療所 8,105 ヵ所(全家庭医診療所の 96%)について,臨床コンピュータシステムから自動的に抽出されたデータ,英国国勢調査のデータ,および英国保健省による診療所の特性に関するデータを分析した.診療行為 65 項目(指標)に関する例外報告率,ならびにその例外報告率と患者および診療所の特性との関連について検討した.

結 果

2005 年 4 月~2006 年 3 月に,医師は中央値 5.3%(四分位範囲 4.0~6.9)の患者を医療の質の算定から除外していた.医師は,治療の提供と,転帰の中間期目標値の達成に関連する指標から患者を除外する傾向がもっとも強く,ルーチンの検査と治療の提案に関連する指標から除外する傾向がもっとも弱かった.患者と診療所の特性からは,例外報告のばらつきの 2.7%が説明されたにすぎなかった.例外報告は,pay-for-performance プログラムの費用の約 1.5%を占めたと推定される.

結 論

例外報告は,そのプロセスが適切に行われた場合,pay-for-performance プログラムに大きな利益をもたらす.英国では除外報告率が一般的に低く,ゲーミングが広まっているということを裏付ける証拠にはならない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 274 - 84. )