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July 3, 2008 Vol. 359 No. 1

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モザンビークの農村部における心内膜心筋線維症に関する人口研究
A Population Study of Endomyocardial Fibrosis in a Rural Area of Mozambique

A.O. Mocumbi and Others

背景

心内膜心筋線維症は,世界的に頻度の高い拘束型心筋症である.ほとんどの患者は進行した心不全で受診するため,特異的治療はなく,予後は不良である.臨床症例の集積から,地域ごとの分布のばらつきが,アフリカ,アジア,南米のいくつかの国々で報告されているが,疫学的特徴やこの疾患の初期段階に関する大規模データは不足している.

方 法

経胸壁心エコーを用いて,モザンビークの農村部における心内膜心筋線維症の有病率を調査した.クラスタリングにより選択した全年齢群の 1,063 例から成る無作為標本をスクリーニングした.診断の大基準と小基準を定義し,重症度スコアを作成して用いた.症例は,心臓病変の分布と重症度に従って分類した.

結 果

心内膜心筋線維症の概算の全有病率は 19.8%,すなわち 1,063 例中 211 例であった(95%信頼区間 [CI] 17.4~22.2).有病率は,10~19 歳でもっとも高く(28.1%,260 例中 73 例 [95% CI 22.6~33.6]),男性のほうが女性よりも高かった(23.0% 対 17.5%,P=0.03).もっとも頻度の高かった型は,両心室の心内膜心筋線維症であり(有病率 55.5%,211 例中 117 例 [95% CI 48.8~62.2]),次いで右側の心内膜心筋線維症であった(有病率 28.0%,211 例中 59 例 [95% CI 21.9~34.1]).ほとんどの罹患例は,心エコーで軽度~中等度の構造的・機能的異常を示した.心内膜心筋線維症患者で症状を呈したのは 48 例(22.7%)のみであった.家族内集積の頻度は高かった.

結 論

心内膜心筋線維症は,モザンビークの農村部において高頻度にみられた.心エコーにより,心内膜心筋線維症を初期の無症状期に検出することができた.これらの所見は,この疾患の病因の研究や,新しい管理戦略の開発の一助となるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 43 - 9. )