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March 19, 2009 Vol. 360 No. 12

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若年成人の心不全発症における人種差
Racial Differences in Incident Heart Failure among Young Adults

K. Bibbins-Domingo and Others

背景

若年成人の心不全に関して,先行症状と疫学はあまり明らかにされていない.

方 法

ベースラインの年齢が 18~30 歳であった黒人と白人の男女 5,115 例において,心不全の発症率を 20 年間にわたり前向きに評価した.Cox モデルを用いて,心不全による入院の予測因子と死亡の予測因子を検討した.

結 果

20 年間で 27 例が心不全を発症した(平均 [±SD] 発症年齢 39±6 歳).1 例を除く全例が黒人であった.50 歳未満の心不全の累積発症率は,黒人女性で 1.1%(95%信頼区間 [CI] 0.6~1.7),黒人男性で 0.9%(95% CI 0.5~1.4),白人女性で 0.08%(95% CI 0.0~0.5),白人男性で 0%(95% CI 0~0.4)であった(黒人と白人との比較において P=0.001).18~30 歳の黒人が平均 15 年後に心不全を発症する独立予測因子は,拡張期血圧が高いこと(10.0 mmHg あたりのハザード比 2.1,95% CI 1.4~3.1),体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m]2)が高いこと(5.7 単位あたりのハザード比 1.4,95% CI 1.0~1.9),高比重リポ蛋白コレステロール値が低いこと(13.3 mg/dL [0.34 mmol/L] あたりのハザード比 0.6,95% CI 0.4~1.0),腎疾患(ハザード比 19.8,95% CI 4.5~87.2)であった.40代で心不全を発症した参加者の 3/4 は,40 歳までに高血圧を発症していた.23~35 歳のときに行った心エコー図検査で認められた収縮能低下は,平均 10 年後の心不全発症に独立して関連していた(収縮能低下のハザード比 36.9,95% CI 6.9~198.3;収縮能が境界域であった場合のハザード比 3.5,95% CI 1.2~10.2).心筋梗塞,薬物使用,飲酒は,心不全発症のリスクとの関連が認められなかった.

結 論

50 歳未満で心不全を発症する頻度は,黒人のほうが白人よりはるかに高かった.35 歳未満における高血圧,肥満,収縮不全は,心不全予防の標的となりうる重要な先行症状である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00005130)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1179 - 90. )