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March 26, 2009 Vol. 360 No. 13

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HSV-2 感染,HPV 感染,梅毒の予防を目的とした包皮環状切除
Male Circumcision for the Prevention of HSV-2 and HPV Infections and Syphilis

A.A.R. Tobian and Others

背景

3 件の臨床試験で,包皮環状切除により男性のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染率が有意に低下することが示された.HIV 陰性の青年男性と成人男性を対象に,単純ヘルペスウイルス 2 型(HSV-2)とヒトパピローマウイルス(HPV)への感染,および梅毒の予防を目的とした男性の包皮環状切除の有効性を検討した.

方 法

HIV およびその他の性感染症の予防を目的とした男性の包皮環状切除に関する 2 件の試験に,HIV 陰性で包皮環状切除歴のない 15~49 歳の男性 5,534 人を登録した.このうち,3,393 人(61.3%)は登録時点で HSV-2 血清陰性であった.その 3,393 人のうち,1,684 人をただちに包皮環状切除を行う群(介入群)に,1,709 人を 24 ヵ月後に包皮環状切除を行う群(対照群)に無作為に割り付けた.ベースライン,6 ヵ月後,12 ヵ月後,24 ヵ月後に,HSV-2 感染,HIV 感染,梅毒の検査とともに,身体診察と面接を実施した.また,ベースラインと 24 ヵ月後に,HPV 感染患者のサブグループについて評価を行った.

結 果

24 ヵ月後の HSV-2 セロコンバージョンの累積確率は,介入群で 7.8%,対照群で 10.3%であった(介入群の補正ハザード比 0.72,95%信頼区間 [CI] 0.56~0.92,P=0.008).高リスク HPV 遺伝子型の保有率は,介入群で 18.0%,対照群で 27.9%であった(補正リスク比 0.65,95% CI 0.46~0.90,P=0.009).しかし,梅毒の発症率には両群間で有意差は認められなかった(補正ハザード比 1.10,95% CI 0.75~1.65,P=0.44).

結 論

包皮環状切除により,男性の HIV 感染率が低下したことに加え,HSV-2 感染率と HPV 感染率も有意に低下した.この結果は,包皮環状切除が公衆衛生上の有益性をもちうることを強調するものである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00425984,NCT00124878)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1298 - 309. )