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April 2, 2009 Vol. 360 No. 14

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転移性大腸癌の一次治療としてのセツキシマブと化学療法
Cetuximab and Chemotherapy as Initial Treatment for Metastatic Colorectal Cancer

E. Van Cutsem and Others

背景

移性大腸癌に対する一次治療としてのセツキシマブとイリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリン(FOLFIRI)の併用療法の有効性を検討し,腫瘍における KRAS 遺伝子の変異状態とセツキシマブへの臨床反応との関連を検討した.

方 法

切除不能で上皮成長因子受容体陽性の転移性大腸癌を有する患者を,FOLFIRI 単独群と,セツキシマブ+FOLFIRI 併用群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存期間とした.

結 果

599 例がセツキシマブ+FOLFIRI 併用療法を受け,599 例が FOLFIRI 単独療法を受けた.セツキシマブ+FOLFIRI 群の,FOLFIRI 単独群に対する無増悪生存期間のハザード比は 0.85 であった(95%信頼区間 [CI] 0.72~0.99,P=0.048).全生存期間に関して両群間に有意差は認められなかった(ハザード比 0.93,95% CI 0.81~1.07,P=0.31).治療群と KRAS 変異状態とのあいだには,腫瘍反応に関して有意な相関が認められたが(P=0.03),無増悪生存期間(P=0.07),全生存期間(P=0.44)に関しては認められなかった.KRAS 野生型腫瘍を有する患者における無増悪生存期間のハザード比は 0.68(95% CI 0.50~0.94)で,セツキシマブ+FOLFIRI 群が優れていた.以下に示すグレード 3 または 4 の有害事象は,セツキシマブ+FOLFIRI 群で FOLFIRI 単独群よりも高頻度に発現した:皮膚反応(グレード 3 のみ)(患者の 19.7% 対 0.2%,P<0.001),注入に伴う反応(2.5% 対 0%,P<0.001),下痢(15.7% 対 10.5%,P=0.008).

結 論

セツキシマブ+FOLFIRI を用いた一次治療により,FOLFIRI 単独での治療と比較して,転移性大腸癌の増悪リスクが低下した.セツキシマブの有益性は,KRAS 野生型腫瘍を有する患者に限定された.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00154102)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1408 - 17. )