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April 23, 2009 Vol. 360 No. 17

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脳卒中に関するゲノムワイド関連研究
Genomewide Association Studies of Stroke

M.A. Ikram and Others

背景

一般集団における脳卒中リスクの基礎にある遺伝子はまだ明らかにされていない.

方 法

ゲノム疫学における心臓と加齢に関する研究コホート(Cohorts for Heart and Aging Research in Genomic Epidemiology)コンソーシアムを構成する 4 つの大規模コホートから,平均追跡期間 11 年のあいだに 1,544 件の脳卒中(脳梗塞 1,164 件)を発症した白人 19,602 例(平均 [±SD] 年齢 63±8 歳)のゲノムワイド関連データを生成し,解析を行った.また,再現コホートとして,215 件の脳卒中(脳梗塞 191 件)を発症した黒人 2,430 例の大規模コホート,85 件の脳卒中(脳梗塞 68 件)を発症した黒人 574 例の小規模コホート,脳梗塞を発症した 652 例と健常者 3,613 例から成るオランダ人のコホートを対象に,脳卒中ともっとも強く関連するマーカーについて検討した.

結 果

染色体 12p13 上で NINJ2 遺伝子の 11 kb 内にある 2 遺伝子間一塩基多型が,脳卒中と関連を示した(P<5×10-8).NINJ2 は,神経損傷によりグリアでの発現が亢進する接着分子をコードしている.直接的な遺伝子型の決定により,rs12425791 が全脳卒中(全タイプ)と脳梗塞のリスク上昇と関連することが示され,ハザード比はそれぞれ 1.30(95%信頼区間 [CI] 1.19~1.42)と 1.33(95% CI 1.21~1.47)であり,集団寄与リスクはそれぞれ 11%と 12%であった.一方,黒人の大規模コホートでは全脳卒中のハザード比 1.35(95% CI 1.01~1.79,P=0.04),脳梗塞のハザード比 1.42(95% CI 1.06~1.91,P=0.02)であり,オランダ人のコホートでは全脳卒中のハザード比 1.17(95% CI 1.01~1.37,P=0.03),脳梗塞のハザード比 1.19(95% CI 1.01~1.41,P=0.04)であった.黒人の小規模コホートの解析は検出力が不十分であり,有意差は認められなかった.

結 論

染色体 12p13 上の 1 遺伝子座は,脳卒中リスクの上昇と関連している.

本論文(10.1056/NEJMoa0900094)は,2009 年 4 月 15 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1718 - 28. )