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May 14, 2009 Vol. 360 No. 20

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細気管支炎の乳児に対するエピネフリンとデキサメタゾンの併用療法
Epinephrine and Dexamethasone in Children with Bronchiolitis

A.C. Plint and Others

背景

細気管支炎の乳児の治療に,エピネフリン吸入や副腎皮質ステロイド投与を単独で行った場合の有益性は多くの研究で検討されているが,これらを併用した場合の有効性については十分には明らかにされていない.

方 法

多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験において,小児科救急部で診察を受けた細気管支炎を有する 800 例の乳児(生後 6 週~12 ヵ月)を,以下の 4 群のいずれかに無作為に割り付けた;第 1 群はエピネフリンの吸入 2 回(各投与につきエピネフリン 1:1,000 希釈液 3 mL)とデキサメタゾンの経口投与 6 回(救急部で 1.0 mg/kg,その後 0.6 mg/kg/日を 5 日間)(エピネフリン+デキサメタゾン群),第 2 群はエピネフリンの吸入とプラセボの経口投与(エピネフリン群),第 3 群はプラセボの吸入とデキサメタゾンの経口投与(デキサメタゾン群),第 4 群はプラセボの吸入とプラセボの経口投与(プラセボ群).主要転帰は,登録日(救急部の初回受診)から 7 日以内の入院とした.

結 果

ベースラインの臨床特性は 4 群で同等であった.7 日目までに,エピネフリン+デキサメタゾン群 34 例(17.1%),エピネフリン群 47 例(23.7%),デキサメタゾン群 51 例(25.6%),プラセボ群 53 例(26.4%)が入院した.未補正の解析では,エピネフリン+デキサメタゾン群のみが,プラセボ群と比較して 7 日以内の入院率が有意に低かったが(相対リスク 0.65,95%信頼区間 0.45~0.95,P=0.02),多重比較補正後,この結果は有意ではなくなった(P=0.07).重篤な有害事象は認められなかった.

結 論

救急部で治療を受ける細気管支炎の乳児に対し,デキサメタゾンとエピネフリンの併用療法を行うと,入院率が有意に減少する可能性がある.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN56745572)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2079 - 89. )