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June 4, 2009 Vol. 360 No. 23

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多剤耐性結核に対するジアリルキノリン TMC207
The Diarylquinoline TMC207 for Multidrug-Resistant Tuberculosis

A.H. Diacon and Others

背景

ジアリルキノリン(diarylquinoline)TMC207 は,結核菌の ATP 合成酵素を阻害するという新たな抗結核作用機序を有することが示されている.TMC207 は in vitro で薬剤感受性・薬剤耐性の結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を強力に阻害し,薬剤感受性の肺結核患者において殺菌作用を示す.

方 法

2 段階の無作為化比較第 2 相試験の第 1 段階として,新たに多剤耐性肺結核と診断された患者 47 例を,TMC207 群(400 mg/日を 2 週間投与した後,200 mg/日を週に 3 回,6 週間投与)(23 例)と,プラセボ群(24 例)のいずれかに無作為に割り付けた.いずれも第 2 選択薬 5 剤から成る標準的な多剤耐性結核治療レジメンを併用した.主要有効性エンドポイントは,液体培地において喀痰培養が陽性から陰性へ転換することとした.

結 果

TMC207 群では,プラセボ群に比べ,喀痰培養陰転までの期間が短く(ハザード比 11.8,95%信頼区間 2.3~61.3,Cox 回帰分析による P=0.003),培養陰転のみられた患者の割合が高かった(48% 対 9%).喀痰中コロニー形成単位の常用対数の平均値は,TMC207 群のほうがプラセボ群に比べ速やかに低下した.培養陰転のみられた患者とみられなかった患者とで,TMC207 の平均血漿中濃度に有意差は認められなかった.有害事象の多くは軽度~中等度であり,悪心のみがTMC207 群でプラセボ群よりも有意に高頻度にみられた(26% 対 4%,P=0.04).

結 論

TMC207 の臨床活性から,ATP 合成酵素は結核治療の標的となりうることが確認された.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00449644)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2397 - 405. )