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June 11, 2009 Vol. 360 No. 24

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原発性胆汁性肝硬変と HLAIL12AIL12RB2 の変異との関連
Primary Biliary Cirrhosis Associated with HLA, IL12A, and IL12RB2 Variants

G.M. Hirschfield and Others

背景

原発性胆汁性肝硬変は,抗ミトコンドリア抗体との関連を特徴とする慢性肉芽腫性胆管炎である.双生児一致例・家族内集積例データから,重要な遺伝的素因が存在することが示唆されているが,感受性遺伝子座は明らかにされていない.

方 法

原発性胆汁性肝硬変のリスクをもたらす遺伝子座を同定するため,ゲノムワイド関連解析を行った.カナダおよび米国の被験者 2,072 例(患者 536 例と対照者 1,536 例)の DNA サンプルを用いて,300,000 個以上の一塩基多型(SNP)の遺伝子型を決定した.もっとも強い関連を示した 16 個の SNP について,2 つの独立した再現セットにおいて遺伝子型を決定した.関連が認められた 3 個の遺伝子座について,精密マッピングを行った.

結 果

原発性胆汁性肝硬変と HLA クラス II 領域に存在する 13 個の遺伝子座に,有意な関連が認められた.中でも HLA-DQB1(主要組織適合性遺伝子複合体 [MHC] クラス II の DQ β 鎖 1 をコードする遺伝子座)がもっとも強い関連を示した(P=1.78×10-19,対照に対する患者のオッズ比 1.75).また,IL12A(インターロイキン-12 β をコードする遺伝子座)の 2 個の SNP rs6441286(P=2.42×10-14,オッズ比 1.54),rs574808(P=1.88×10-13,オッズ比 1.54)と,IL12RB2(インターロイキン-12 受容体 β 2 をコードする遺伝子座)の SNP rs3790567(P=2.76×10-11,オッズ比 1.51)も,有意かつ再現性のある関連を示した.精密マッピング解析から,IL12A の 3' 近傍の 5 個の対立遺伝子のハプロタイプが,原発性胆汁性肝硬変と有意に関連していることが示された(P=1.15×10-34).STAT4(シグナル伝達性転写因子 4 をコードする遺伝子座),CTLA4(細胞障害性 T リンパ球関連蛋白 4 をコードする遺伝子座)と,その他の 10 個の遺伝子座の SNP については,ゲノムワイド関連解析で疾患リスクとの関連は弱い(P<5.0×10-5)ことが明らかにされた.

結 論

このデータから,原発性胆汁性肝硬変と HLA クラス II,IL12AIL12RB2 の遺伝子座で多くみられる遺伝的変異とのあいだに,有意な関連があることが示された.また,インターロイキン-12 の免疫制御シグナル伝達系が,原発性胆汁性肝硬変の病態生理に関連していることが示唆される.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00242125)

本論文(10.1056/NEJMoa0810440)は,2009 年 5 月 20 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2544 - 55. )