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January 22, 2009 Vol. 360 No. 4

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米国における微粒子による大気汚染と平均余命
Fine-Particulate Air Pollution and Life Expectancy in the United States

C.A. Pope III, M. Ezzati, and D.W.Dockery

背景

微粒子による大気汚染への曝露は,疾病と死亡の増加と関連している.このことから,汚染への曝露が持続的に減少すれば平均余命が改善されることが示唆される.この研究では,1980 年代と 1990 年代に米国で生じた微粒子による大気汚染の際の,各地域における変化に伴う平均余命の変動を直接評価した.

方 法

1970 年代末期~1980 年代初頭と 1990 年代末期~2000 年代初頭の微粒子による大気汚染に関するデータをマッチさせ,米国の 51 大都市圏の 211 郡の平均余命,社会経済的地位,人口統計学的特性に関するデータを収集した.回帰モデルを使用して,社会経済的変数,人口統計学的変数,喫煙率の代理指標の変化について補正し,大気汚染の減少と平均余命の変動との関連を評価した.

結 果

微粒子濃度が 10 μg/m3 低下すると,平均(±SE)余命が 0.61±0.20 年延長すると推定された.汚染への曝露の減少が平均余命に及ぼしたと推定される影響は,社会経済的変数,人口統計学的変数,喫煙率の代理変数で補正しても,観察対象を比較的大きな郡に限定しても,それほど左右されなかった(P=0.004).研究対象地域における平均余命延長の全体の15%が,大気汚染の減少により説明された.

結 論

微粒子による大気汚染への曝露の減少は,米国の平均余命の有意かつ重要な改善に寄与した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 376 - 86. )