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February 5, 2009 Vol. 360 No. 6

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幼児における RS ウイルス感染症の負荷
The Burden of Respiratory Syncytial Virus Infection in Young Children

C.B. Hall and Others

背景

RS ウイルス(RSV)が乳児の入院の主な原因であることは十分に認識されているが,幼児における RSV 感染症の全体的な負荷は明らかにされていない.

方 法

米国の 3 郡で 5 歳未満児を対象に,急性呼吸器感染症について住民ベースの前向きサーベイランスを実施した.2000~04 年に入院した小児,および 2002~04 年に救急部と小児科クリニックを外来受診した児を対象とした.RSV は,培養と逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により検出した.臨床情報は保護者と診療録から入手した.RSV 感染症に関連する入院の割合を住民ベースで算出し,RSV に関連する外来受診の割合を評価した.

結 果

対象とした 5,067 例のうち,919 例(18%)に RSV 感染症が認められた.全体で,11 月~4 月の期間における RSV 感染症は,急性呼吸器感染症による入院の 20%,救急部受診の 18%,小児科クリニック受診の 15%と関連していた.平均年間入院率は,6 ヵ月未満児で 1,000 人中 17 例,5 歳未満児で 1,000 人中 3 例であった.ほとんどの小児に併存疾患はみられなかった.未熟児であることと,低年齢であることのみが入院の独立した危険因子であった.5 歳未満児において,RSV と関連した小児科クリニック受診率は,救急部受診率の 3 倍と推定された.外来受診例の RSV 関連疾患はやや重症であったが,原因が RSV であると診断された例は少なかった(3%).

結 論

米国の入院患児・外来患児の両方で,RSV 感染症はかなりの罹患率と関連していることが示された.RSV 感染症患児の大半はそれまで健康であったことから,高リスク児のみを対象とした感染制御戦略では,RSV 感染症の全体的負荷に対する効果は限られてしまう可能性が示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 588 - 98. )