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February 26, 2009 Vol. 360 No. 9

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同種腎移植における C3 多型と移植腎の転帰
C3 Polymorphisms and Allograft Outcome in Renal Transplantation

M. Varagunam and Others

背景

慢性移植腎症は,遠隔期における移植腎廃絶の一般的な原因であるが,その発現には補体の活性化が関与している.同種移植腎の長期転帰において,電気泳動移動度により C3F(fast),C3S(slow)と呼ばれる補体第 3 成分(C3)の 2 つのアロタイプが果たす役割については,依然として議論がある.

方 法

共同移植研究(Collaborative Transplant Study)の DNA バンクからドナーとレシピエント 1,147 組の無作為標本を抽出し,DNA 標本の C3F,C3S 対立遺伝子の遺伝子型を決定した.遺伝子型決定の結果を,移植腎の転帰に基づき解析した.レシピエントとドナーの遺伝子型に応じて,移植例を次の 4 群に分類した;SS のレシピエントと FS または FF のドナー(この組合せは,転帰がもっとも優れていると報告されているため比較基準とした),SS のレシピエントとドナー,FS または FF のレシピエントと SS のドナー,FS または FF のレシピエントとドナー.

結 果

ベースライン特性は 4 群で同等であった.SS のレシピエントと FS または FF のドナー群の移植腎生着のハザード比は,ほかの 3 群(SS のレシピエントとドナー,FS または FF のレシピエントと SS のドナー,FS または FF のレシピエントとドナー)に比べて有意ではなく,それぞれ 0.90(95%信頼区間 [CI] 0.7~1.14,P=0.33),0.87(95% CI 0.65~1.16,P=0.33),0.89(95% CI 0.65~1.23,P=0.48)であった.患者の生存率は 4 群で同等であり,急性拒絶反応と移植腎機能障害の累積発生率についても,血清クレアチニン値を指標として評価した結果,同等であった.

結 論

今回の結果から,SS のレシピエントに FS または FS のドナー腎を移植することには優越性がないことが示唆される.これはおそらく,慢性移植腎症が,さまざまな生物学的経路の相互作用が関わる,多面的な疾患であるためと考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 874 - 80. )