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December 10, 2009 Vol. 361 No. 24

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急性静脈血栓塞栓症の治療におけるダビガトランとワルファリンの比較
Dabigatran versus Warfarin in the Treatment of Acute Venous Thromboembolism

S. Schulman and Others

背景

経口直接トロンビン阻害薬ダビガトラン(dabigatran)の抗凝固作用は予測可能であり,急性静脈血栓塞栓症患者の治療においてワルファリンに代わる可能性がある.

方 法

無作為化二重盲検非劣性試験において,最初に非経口抗凝固療法を中央値 9 日間(四分位範囲 8~11 日)受けた急性静脈血栓塞栓症患者を対象として,ダビガトラン 150 mg 1 日 2 回の経口投与を,国際標準比 2.0~3.0 となるよう用量を調節したワルファリン投与と比較した.主要転帰は,6 ヵ月間における再発性・症候性の客観的に確認された静脈血栓塞栓症およびそれに関連した死亡の発生率とした.安全性エンドポイントは,出血性イベント,急性冠症候群,その他の有害事象,肝機能検査値などとした.

結 果

静脈血栓塞栓症は,ダビガトラン群に無作為に割り付けた 1,274 例中 30 例(2.4%),ワルファリン群に割り付けた 1,265 例中 27 例(2.1%)で再発し,リスク差は 0.4 パーセントポイントであった(95%信頼区間 [CI] -0.8~1.5,事前に規定した非劣性限界について P<0.001).ダビガトランのハザード比は 1.10(95% CI 0.65~1.84)であった.重大な出血エピソードは,ダビガトラン群 20 例(1.6%),ワルファリン群 24 例(1.9%)で発生し(ダビガトランのハザード比 0.82,95% CI 0.45~1.48),またなんらかの出血エピソードが,ダビガトラン群 205 例(16.1%),ワルファリン群 277 例(21.9%)で認められた(ダビガトランのハザード比 0.71,95% CI 0.59~0.85).死亡,急性冠症候群,肝機能検査値異常の発生数は,両群で同程度であった.投与中止にいたった有害事象は,ダビガトラン群の 9.0%,ワルファリン群の 6.8%で発生した(P=0.05).

結 論

急性静脈血栓塞栓症の治療において,固定用量のダビガトランはワルファリンと同程度に有効で,同等の安全性プロファイルを示し,検査によるモニタリングを必要としない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00291330)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2342 - 52. )