December 17, 2009 Vol. 361 No. 25
2009 インフルエンザ A(H1N1)一価ワクチンに対する反応
Response to a Monovalent 2009 Influenza A(H1N1)Vaccine
M.E. Greenberg and Others
新型の 2009 インフルエンザ A(H1N1)ウイルスは,41 年ぶりにパンデミックを引き起こした.安全で有効なワクチンが必要とされている.オーストラリアの 1 施設で,不活化 2009 H1N1 スプリットワクチンの 2 回接種に関する無作為化観察者盲検並行群間試験が,18~64 歳の健常成人を対象に行われている.
2 用量のワクチンについて,それぞれ 21 日間隔で 2 回接種し,各接種後に免疫原性と安全性を評価した.50 歳未満と 50 歳以上で同数になるよう,計 240 例の被験者を登録し,赤血球凝集素抗原 15 μg 群と 30 μg 群に無作為に割り付け,筋肉内注射した.赤血球凝集抑制試験とマイクロ中和試験を用いて,ベースラインと各接種後 21 日目に抗体価を測定した.免疫原性に関する複数の主要エンドポイントは,赤血球凝集抑制試験で抗体価が 1:40 以上の被験者の割合,セロコンバージョンまたは抗体価の有意な上昇が認められた被験者の割合,幾何平均抗体価の係数上昇とした.
1 回目の接種後 21 日目までに抗体価が 1:40 以上となった被験者は,15 μg 群で 120 例中 114 例(95.0%),30 μg 群で 119 例中 106 例(89.1%)であった.2 回目の接種後にも同様の結果が得られた.死亡,重篤な有害事象,特筆すべき有害事象は報告されなかった.各接種後に,局所不快感(注射部位の圧痛や疼痛など)が被験者の 56.3%で,全身症状(頭痛など)が 53.8%で報告された.有害事象はほとんどが軽度~中等度のものであった.
成人では,2009 H1N1 ワクチン 15 μg の 1 回の接種で免疫原性が得られ,ワクチンに関連した有害事象はほとんどが軽度~中等度のものであった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00938639)