December 24, 2009 Vol. 361 No. 26
Lp(a) リポ蛋白濃度と冠動脈疾患に関連する遺伝子変異
Genetic Variants Associated with Lp(a) Lipoprotein Level and Coronary Disease
R. Clarke and Others
Lp(a) リポ蛋白濃度の上昇は,遺伝性の高い冠動脈疾患の危険因子であることが確認されている.Lp(a) リポ蛋白濃度の遺伝的な規定要因と,それらと冠動脈疾患リスクの関連については,十分に明らかにされていない.
冠動脈疾患患者 3,145 例と対照 3,352 例を対象に,2,100 個の候補遺伝子内の 48,742 個の一塩基多型(SNP)を含む新規の遺伝子チップを用いて遺伝的関連を検討した.冠動脈疾患患者 4,846 例と対照 4,594 例を含む独立した 3 つの集団で再現性を検討した.
染色体の 3 領域(6q26-27,9p21,1p13)に,冠動脈疾患リスクとの強い関連が認められた.Lp(a) リポ蛋白をコードする 6q26-27 上の LPA 遺伝子座がもっとも強い関連を示した.冠動脈疾患のオッズ比は,LPA 遺伝子座で高頻度にみられる変異(rs10455872)で 1.70(95%信頼区間 [CI] 1.49~1.95),もう 1 つの変異(rs3798220)で 1.92(95% CI 1.48~2.49)であった.いずれの変異も,Lp(a) リポ蛋白濃度の上昇,LPA コピー数の減少(これによりクリングル IV-2 型配列の繰り返し回数が決まる),Lp(a) リポ蛋白のサイズ縮小と強く関連していた.再現性の検討により,両変異が Lp(a) リポ蛋白濃度と冠動脈疾患リスクに関連していることが確認された.メタアナリシスでは,両 LPA の SNP を含む遺伝子型スコアを用いると,冠動脈疾患のオッズ比は,変異を 1 個有する場合は 1.51(95% CI 1.38~1.66)であり,2 個以上有する場合は 2.57(95% CI 1.80~3.67)であった.Lp(a) リポ蛋白濃度で補正すると,LPA 遺伝子型スコアと冠動脈疾患リスクの関連は消失した.
Lp(a) リポ蛋白濃度上昇と冠動脈疾患リスク上昇に強く関連する LPA 変異を 2 個同定した.今回の結果は,Lp(a) リポ蛋白が冠動脈疾患に寄与していることを裏付けるものである.