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December 31, 2009 Vol. 361 No. 27

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ニューヨーク市の 1 学校における 2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)の集団感染
Outbreak of 2009 Pandemic Influenza A(H1N1)at a New York City School

J. Lessler and Others

背景

2009 年 4 月に,ニューヨーク市クイーンズ区の 1 校の高校で,ブタ由来の新型インフルエンザ A(2009 H1N1 インフルエンザ)の集団感染が発生した.この集団感染について報告し,新型ウイルスの臨床的・疫学的特徴を検討する.

方 法

ニューヨーク市保健精神衛生局(New York City Department of Health and Mental Hygiene)は,鼻咽頭検体と口腔咽頭検体を用いた 2009 H1N1 ウイルス検査の結果と,オンライン調査で得た情報により,集団感染の特徴を明らかにした.曝露と発症に関する詳細情報から,2009 H1N1 インフルエンザの潜伏期間,世代時間,校内での再生産数を,確立された方法により推定した.

結 果

4 月 24 日~5 月 8 日に,生徒と職員,計 124 例で 2009 H1N1 ウイルス感染が確認された.オンライン調査では,800 人を超える生徒と職員(回答した生徒の 35%と回答した職員の 10%)が,同時期にインフルエンザ様疾患を発症していたと報告した.2009 H1N1 インフルエンザ確定例とインフルエンザ様疾患発症例のいずれにも,重度の症状は認められなかった.メキシコ旅行との関連が確認された.2009 H1N1 インフルエンザ確定例における潜伏期間の推定中央値は 1.4 日(95%信頼区間 [CI] 1.0~1.8)であり,患者の 95%は 2.2 日以内(95% CI 1.7~2.6)に発症していた.世代時間の推定中央値は 2.7 日(95% CI 2.0~3.5)であった.校内での再生産数は 3.3 と推定された.

結 論

この調査結果から,1 校の高校で 2009 H1N1 インフルエンザの感染が拡大したにもかかわらず,重症疾患は発生しなかったことが示唆される.インフルエンザ様疾患が迅速かつ広範に広がった理由は不明である.2009 H1N1 インフルエンザウイルスの自然経過と伝播は,過去のパンデミック期・パンデミック間期のインフルエンザウイルスと類似しているとみられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2628 - 36. )