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August 20, 2009 Vol. 361 No. 8

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乳癌女性に対するレトロゾール単剤投与とタモキシフェン・レトロゾール逐次投与の比較
Letrozole Therapy Alone or in Sequence with Tamoxifen in Women with Breast Cancer

The BIG 1-98 Collaborative Group

背景

ホルモン受容体陽性早期乳癌の閉経後女性では,アロマターゼ阻害薬レトロゾールにより,タモキシフェンと比較して無病生存率が改善する.タモキシフェンとレトロゾールの逐次投与が,レトロゾールの単剤投与より優れているかどうかは明らかにされていない.

方 法

この無作為化第 3 相二重盲検試験では,ホルモン受容体陽性乳癌の閉経後女性を対象に,5 年間タモキシフェンを投与する群,5 年間レトロゾールを投与する群,2 年間レトロゾールを投与後 3 年間タモキシフェンを投与する群,2 年間タモキシフェンを投与後 3 年間レトロゾールを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.今回,6,182 例を対象に両剤の逐次投与とレトロゾール単剤投与を比較した結果と,プロトコールで規定した,4,922 例におけるレトロゾールとタモキシフェンの単剤投与の比較について最新解析結果を報告する.

結 果

無作為化後追跡期間中央値 71 ヵ月での無病生存率には,いずれの逐次投与群にも,レトロゾール単剤投与群と比べて有意な改善は認められなかった(タモキシフェン→レトロゾール逐次投与群のハザード比 1.05,99%信頼区間 [CI] 0.84~1.32;レトロゾール→タモキシフェン逐次投与群のハザード比 0.96,99% CI 0.76~1.21).タモキシフェン→レトロゾール逐次投与群では,レトロゾール単剤投与群と比べて,早期に再発する頻度が高かった.単剤投与についての最新解析では,レトロゾール単剤投与群とタモキシフェン単剤投与群の全生存率には,有意ではないが差が認められた(レトロゾール単剤投与群のハザード比 0.87,95% CI 0.75~1.02,P=0.08).有害事象発現率は,レトロゾールとタモキシフェンの単剤投与の先行報告から予想されるとおりであった.

結 論

内分泌感受性乳癌の閉経後女性に対し,レトロゾールとタモキシフェンの逐次投与を行っても,レトロゾール単剤投与と比べて無病生存率の改善は認められなかった.また,レトロゾール単剤投与群とタモキシフェン単剤投与群の全生存率には,統計学的有意差は認められなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00004205)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 766 - 76. )