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August 20, 2009 Vol. 361 No. 8

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オピオイド依存症の治療におけるジアセチルモルヒネとメタドンの比較
Diacetylmorphine versus Methadone for the Treatment of Opioid Addiction

E. Oviedo-Joekes and Others

背景

欧州での研究から,慢性かつ再発性のオピオイド依存症に対して,ヘロインの有効成分であるジアセチルモルヒネ(diacetylmorphine)の注射投与が効果的な補助療法となる可能性があることが示唆されている.

方 法

カナダでの第 3 相無作為化非盲検対照試験で,治療抵抗性のオピオイド依存症患者を対象に,ジアセチルモルヒネの注射投与と,メタドン(methadone)の経口投与による維持療法を比較した.依存症の治療(メタドンによる治療を最低 1 回含む)を 2 回以上試みたが利益の得られなかったヘロイン注射の長期使用者を,メタドン群(111 例)と,ジアセチルモルヒネ群(115 例)に無作為に割り付けた.主要転帰は,12 ヵ月後の評価における依存症治療の継続と薬物を使用していない状態,および欧州依存症重症度指標(European Addiction Severity Index)に基づく違法薬物の使用またはその他違法行為の減少とした.

結 果

参加者の 95.2%で主要転帰が確認された.intention-to-treat 解析に基づくと,依存症治療を継続している割合は,ジアセチルモルヒネ群では 87.8%であったのに対し,メタドン群では 54.1%であった(継続率比 1.62,95%信頼区間 [CI] 1.35~1.95,P<0.001).違法薬物の使用またはその他違法行為が減少した割合は,ジアセチルモルヒネ群では 67.0%であったのに対し,メタドン群では 47.7%であった(率比 1.40,95% CI 1.11~1.77,P=0.004).ジアセチルモルヒネ注射に関連した重篤な有害事象でもっとも多かったのは,過量投与(10 例)と痙攣(6 例)であった.

結 論

ジアセチルモルヒネの注射投与はメタドンの経口投与に比べてより有効であった.しかし,ジアセチルモルヒネによる維持療法には過量投与と痙攣のリスクがあるため,迅速な医療介入が可能な環境で行うべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00175357)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 777 - 86. )