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August 27, 2009 Vol. 361 No. 9

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急性心筋梗塞の早期診断における 高感度トロポニン I アッセイ
Sensitive Troponin I Assay in Early Diagnosis of Acute Myocardial Infarction

T. Keller and Others

背景

心筋トロポニンの測定は,急性心筋梗塞の診断に必須である.急性心筋梗塞の早期診断とリスク層別化を目的とした,高感度トロポニン I アッセイについて評価を行った.

方 法

多施設共同研究において,急性心筋梗塞が疑われる連続した 1,818 例の患者を対象に,入院時および入院後 3 時間,6 時間の時点で,トロポニン I(高感度アッセイによる),トロポニン T,および従来の心筋壊死マーカーの測定を行った.

結 果

入院時に採取した検体に対する診断精度は,トロポニン T アッセイ(受信者動作特性 [ROC] 曲線の曲線下面積 [AUC] 0.85),従来の心筋壊死マーカーと比べて,高感度トロポニン I アッセイがもっとも高かった(AUC 0.96).入院時に行った高感度トロポニン I アッセイ(カットオフ値 0.04 ng/mL)では,臨床的感度 90.7%,特異度 90.2%であった.その診断精度は,胸痛発現からの経過時間にかかわらず,入院時の検体と入院後の検体でほぼ同程度であった.胸痛発現後 3 時間以内に来院した患者では,入院時に行った 1 回の高感度トロポニン I アッセイの陰性適中率は 84.1%,陽性適中率は 86.7%であり,その所見から,入院後 6 時間以内にトロポニン I 濃度が 30%上昇することが予測された.トロポニン I 濃度が 0.04 ng/mL を超えることは,入院後 30 日での有害転帰のリスク上昇と独立して関連していた(ハザード比 1.96,95%信頼区間 1.27~3.05,P=0.003).

結 論

トロポニン I の高感度アッセイを行うことで,胸痛発現からの経過時間にかかわらず,急性心筋梗塞の早期診断およびリスク層別化が改善される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 868 - 77. )