The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 15, 2010 Vol. 362 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心房細動患者に対する心拍数コントロール:緩やかなコントロールと厳格なコントロールとの比較
Lenient versus Strict Rate Control in Patients with Atrial Fibrillation

I.C. Van Gelder and Others

背景

心房細動の治療には心拍数コントロールが選択されることが多い.ガイドラインでは厳格な心拍数コントロールが推奨されているが,これは臨床的エビデンスに基づいたものではない.われわれは,永続性心房細動患者における心血管系の疾患や死亡を防ぐにあたり,緩やかな心拍数コントロールは厳格な心拍数コントロールに劣らないという仮説を立てた.

方 法

永続性心房細動患者 614 例を,緩やかな(非厳格)コントロール群(安静時心拍数<110 回/分)と厳格コントロール群(安静時心拍数<80 回/分,中等度の運動時の心拍数<110 回/分)に無作為に割り付けた.主要転帰は,心血管系が原因の死亡,心不全による入院,脳卒中・全身性塞栓症・出血・生命に関わる不整脈の複合とした.追跡期間は 2 年以上,3 年までとした.

結 果

3 年後の主要転帰の推定累積発生率は,非厳格コントロール群で 12.9%,厳格コントロール群で 14.9%であり,非厳格コントロール群で絶対差 -2.0 パーセントポイント(90%信頼区間 -7.6~3.5,事前に規定した非劣性限界について P<0.001)であった.主要転帰の各項目の発生頻度は 2 群で同程度であった.非厳格コントロール群のほうが目標心拍数を達成した患者が多く(304 例 [97.7%] 対 厳格コントロール群 203 例 [67.0%],P<0.001),総受診回数が少なかった(75 回 [中央値 0] 対 684 回 [中央値 2],P<0.001).症状と有害事象の発生頻度は 2 群で同程度であった.

結 論

永続性心房細動患者に対する心拍数コントロールでは,緩やかなコントロールは厳格なコントロールと同程度に有効であり,より容易に達成することができる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00392613)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1363 - 73. )