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April 15, 2010 Vol. 362 No. 15

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クローン病に対するインフリキシマブ単独療法,アザチオプリン単独療法,両剤併用療法の比較
Infliximab, Azathioprine, or Combination Therapy for Crohn's Disease

J.F. Colombel and Others

背景

クローン病に対するインフリキシマブ単独療法,アザチオプリン単独療法,両剤併用療法について,相対的な有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

この無作為化二重盲検試験では,免疫抑制薬または生物学的製剤による治療歴のない中等度~重度のクローン病成人患者 508 例を対象に,インフリキシマブ単独療法,アザチオプリン単独療法,両剤併用療法の有効性を評価した.患者をインフリキシマブ 5 mg/kg 体重を 0 週目,2 週目,6 週目と,その後は 8 週間ごとに点滴静注し,プラセボカプセルを連日経口投与するインフリキシマブ群,アザチオプリン 2.5 mg/kg 体重を連日経口投与し,プラセボを 0 週目,2 週目,6 週目と,その後は 8 週間ごとに点滴静注するアザチオプリン群,両剤併用群のいずれかに無作為に割り付けた.試験薬の投与を 30 週目まで受けた患者は,50 週目まで延長する盲検試験に参加できることとした.

結 果

26 週の時点で,コルチコステロイド不要の臨床的寛解(主要エンドポイント)がみられたのは,両剤併用群では 169 例中 96 例(56.8%)であったのに対しインフリキシマブ単独群では 169 例中 75 例(44.4%)で(P=0.02),アザチオプリン単独群では 170 例中 51 例(30.0%)であった(両剤併用群との比較で P<0.001,インフリキシマブ単独群との比較で P=0.006).50 週の時点での数値にも同様の傾向がみられた.26 週の時点で粘膜治癒が認められたのは,併用群では 107 例中 47 例(43.9%)であったのに対しインフリキシマブ単独群では 93 例中 28 例(30.1%)で(P=0.06),アザチオプリン単独群では 109 例中 18 例(16.5%)であった(併用群との比較で P<0.001,インフリキシマブ単独群との比較で P=0.02).重篤な感染の発生率は,併用群では 3.9%,インフリキシマブ単独群では 4.9%,アザチオプリン単独群では 5.6%であった.

結 論

中等度~重度のクローン病に対しインフリキシマブとアザチオプリンの併用療法を受けた患者,インフリキシマブ単独療法を受けた患者は,アザチオプリン単独療法を受けた患者に比べコルチコステロイド不要の臨床的寛解を得られる傾向が強かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00094458)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1383 - 95. )