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April 29, 2010 Vol. 362 No. 17

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2 型糖尿病における併用脂質低下療法の効果
Effects of Combination Lipid Therapy in Type 2 Diabetes Mellitus

The ACCORD Study Group

背景

心血管疾患リスクの高い 2 型糖尿病患者では,スタチンとフィブラートの併用療法により,スタチン単独療法と比較して心血管疾患リスクが低下するかどうかを検討した.

方 法

非盲検下でシンバスタチン投与を受けている 2 型糖尿病患者 5,518 例を,盲検下でフェノフィブラートを投与する群,プラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は,初回の非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管系の原因による死亡とした.平均追跡期間は 4.7 年であった.

結 果

主要転帰の年間発生率はフェノフィブラート群 2.2%,プラセボ群 2.4%であった(フェノフィブラート群のハザード比 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.79~1.08,P=0.32).また,副次的転帰のいずれの項目にも 2 群間で有意差はなかった.年間死亡率はフェノフィブラート群 1.5%,プラセボ群 1.6%であった(ハザード比 0.91,95% CI 0.75~1.10,P=0.33).事前に規定したサブグループ解析の結果,治療は男性には有益であり,女性には有害となる可能性があったこと(交互作用について P=0.01)から,性別による治療効果の不均一性が示唆され,また,ベースラインでトリグリセリド値が高く HDL コレステロール値が低かった患者では有益となる可能性があったこと(交互作用について P=0.057)から,脂質サブグループによる交互作用の可能性が示唆された.

結 論

フェノフィブラートとシンバスタチンの併用療法により,致死的心血管イベント,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の発生率は,シンバスタチン単独療法と比較して低下することはなかった.この結果は,心血管疾患リスクが高い 2 型糖尿病患者の大多数に,リスク低減を目的としてフェノフィブラートとシンバスタチンの併用療法をルーチンで行うことを支持するものではない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00000620)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1563 - 74. )