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January 21, 2010 Vol. 362 No. 3

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Clostridium difficile トキシンモノクローナル抗体による治療
Treatment with Monoclonal Antibodies against Clostridium difficile Toxins

I. Lowy and Others

背景

Clostridium difficile の感染率,重症度,再発率の上昇を抑制するには,新しい治療法が必要である.

方 法

C. difficile のトキシン A(CDA1)とトキシン B(CDB1)に対する 2 種類の完全ヒトモノクローナル中和抗体に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.症候性の C. difficile 感染がみられメトロニダゾールまたはバンコマイシンの投与を受けている患者に対し,これらの抗体をそれぞれ 10 mg/kg 体重の用量で同時に単回静注した.主要転帰は,モノクローナル抗体またはプラセボの投与後 84 日以内に臨床検査で確認された感染の再発とした.

結 果

登録した 200 例(モノクローナル抗体群 101 例,プラセボ群 99 例)における C. difficile 感染の再発率は,抗体群のほうが低かった(7% 対 25%,95%信頼区間 7~29,P<0.001).流行株 BI/NAP1/027 の感染患者における再発率は,抗体群 8%,プラセボ群 32%であった(P=0.06).複数回の C. difficile 感染歴のある患者における再発率は,それぞれ 7%と 38%であった(P=0.006).入院患者の初回入院の平均期間には,抗体群とプラセボ群のあいだに有意差は認められなかった(それぞれ 9.5 日と 9.4 日).1 件以上の重篤な有害事象が報告された患者は,抗体群 18 例,プラセボ群 28 例であった(P=0.09).

結 論

C. difficile トキシンモノクローナル抗体を抗菌薬に追加することで,C. difficile 感染の再発が有意に減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00350298)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 197 - 205. )