The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 3, 2010 Vol. 362 No. 22

腹圧性尿失禁に対する中部尿道スリング手術:恥骨後式と経閉鎖孔式の比較
Retropubic versus Transobturator Midurethral Slings for Stress Incontinence

H.E. Richter and Others

背景

腹圧性尿失禁の治療に中部尿道スリング手術が用いられるようになってきているが,スリング手術の術式や,関連して発生する合併症を比較したデータは限られている.

方 法

腹圧性尿失禁を有する女性を対象とした多施設共同無作為化同等性試験において,恥骨後式中部尿道スリング手術と経閉鎖孔式中部尿道スリング手術とで転帰を比較した.主要転帰は,12 ヵ月の時点での客観的基準(ストレステスト陰性,パッドテスト陰性,再治療なし)・主観的基準(自己報告による症状なし,尿失禁エピソードの記録なし,再治療なし)の両方に基づく治療成功とした.事前に規定した同等限界は ±12 パーセントポイントとした.

結 果

597 例の女性を試験群に無作為に割り付け,565 例(94.6%)が 12 ヵ月の時点での評価を完了した.客観的評価による治療成功率は,恥骨後式群 80.8%,経閉鎖孔式群 77.7%であった(差 3.0 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -3.6~9.6).主観的評価による治療成功率は,恥骨後式群 62.2%,経閉鎖孔式群 55.8%であった(差 6.4 パーセントポイント,95% CI -1.6~14.3).手術を要する排尿障害の発生率は,恥骨後式群 2.7%,経閉鎖孔式群 0%であった(P=0.004).神経学的症状の発生率は,恥骨後式群 4.0%,経閉鎖孔式群 9.4%であった(P=0.01).術後の切迫性尿失禁,手術結果に対する満足感,QOL について,両群間で有意差は認められなかった.

結 論

12 ヵ月の時点での客観的評価による腹圧性尿失禁の治療成功率は,恥骨後式中部尿道スリング手術,経閉鎖孔式中部尿道スリング手術とも,事前に規定した同等性の基準を満たしていた.主観的評価における治療成功率は両群で同程度であったが,同等性の基準を満たさなかった.尿失禁の外科的治療を検討している患者とは,各術式に関連して発生する合併症の違いについて話し合うべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00325039)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 2066 - 76. )