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June 3, 2010 Vol. 362 No. 22

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CISH と感染症に対する感受性
CISH and Susceptibility to Infectious Diseases

C.C. Khor and Others

背景

インターロイキン-2 を介した免疫応答は,感染性病原体に対する宿主防御において重要である.サイトカインシグナル伝達の抑制因子であるサイトカイン誘導性 SRC 相同 2(SH2)ドメイン蛋白(CISH)は,インターロイキン-2 のシグナル伝達を制御する.

方 法

ガンビア,香港,ケニア,マラウイ,ベトナム各地の症例対照研究の対象計 8,402 例の血液検体を用いて,CISH 多型と主要感染症(菌血症,結核,重症マラリア)に対する感受性との関連を検討した.われわれは,各研究で収集された血液検体で,すでに 20 の免疫関連遺伝子について検討している.

結 果

複数の CISH 多型の変異対立遺伝子と,各研究集団の感染症に対する感受性の増大に関連を認めた.CISH に関連する遺伝子座上にある一塩基多型(SNP)5 個(位置は CISH に対して-639,-292,-163,+1320,+3415)すべてを 1 つの多重 SNP スコアとみなすと,CISH の遺伝子変異体と,菌血症,マラリア,結核に対する感受性とのあいだに関連が認められ(すべての比較について P=3.8×10-11),-292 変異体が関連シグナルのほとんどに起因していることが明らかになった(P=4.58×10-7).-292 変異体を保有している成人被験者の末梢血分子細胞は,野生型細胞と比べて,インターロイキン-2 産生の刺激に弱い反応を示した.すなわち,CISH 発現が 25~40%少なかった.

結 論

CISH の変異体は,多様な感染性病原体によって引き起こされる疾患への感受性と関連しており,サイトカインシグナル伝達の負の制御因子はさまざまな感染症に対する免疫に関与していることが示唆された.CISH の変異対立遺伝子保有者では,これらの感染症のうちの 1 つに対する全リスクが 18%以上増加した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 2092 - 101. )