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January 28, 2010 Vol. 362 No. 4

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アフリカの乳児における重症の下痢に対するヒトロタウイルスワクチンの効果
Effect of Human Rotavirus Vaccine on Severe Diarrhea in African Infants

S.A. Madhi and Others

背景

ロタウイルスは,世界的に乳幼児の重症胃腸炎の原因としてもっとも頻度が高い.アフリカの小児におけるロタウイルスワクチンの有効性を評価したデータが求められている.

方 法

南アフリカ(乳児 3,166 例,全体の 64.1%)とマラウイ(乳児 1,773 例,全体の 35.9%)で無作為化プラセボ対照多施設共同試験を行い,重症ロタウイルス胃腸炎の予防における経口ロタウイルス生ワクチンの有効性を評価した.健常乳児を,生後 6 週,10 週,14 週に,ワクチンを 2 回(およびプラセボを 1 回)接種する群とワクチンを 3 回接種する群(統合ワクチン群),プラセボを 3 回接種する群のいずれかに,1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.生後 1 年間に野生型ロタウイルスが原因で生じた胃腸炎について,積極的追跡サーベイランスにより調査し,Vesikari スケールを用いて重症度を判定した.

結 果

4,939 例の乳児を登録し,3 群のいずれかに無作為に割り付けた;ワクチン 2 回接種群 1,647 例,ワクチン 3 回接種群 1,651 例,プラセボ群 1,641 例.per-protocol 有効性解析に含まれた 4,417 例のうち,プラセボ群の 4.9%,統合ワクチン群の 1.9%に,重症ロタウイルス胃腸炎が認められた(ワクチン有効率 61.2%,95%信頼区間 44.0~73.2).ワクチンの有効率はマラウイのほうが南アフリカよりも低かったが(49.4% 対 76.9%),重症ロタウイルス胃腸炎の予防例数はマラウイのほうが南アフリカよりも多かった(ワクチン接種乳児 100 人年あたりの予防例数 6.7 例 対 4.2 例).あらゆる原因による重症胃腸炎に対する有効率は 30.2%であった.統合ワクチン群の 9.7%,プラセボ群の 11.5%で,1 件以上の重篤な有害事象が認められた.

結 論

ヒトロタウイルスワクチンは,アフリカの乳児において,生後 1 年間の重症ロタウイルス胃腸炎の発生を有意に減少させた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00241644)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 289 - 98. )