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February 18, 2010 Vol. 362 No. 7

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減塩による将来の心血管疾患への効果予測
Projected Effect of Dietary Salt Reductions on Future Cardiovascular Disease

K. Bibbins-Domingo and Others

背景

米国の食事には塩分が多く含まれているが,その大部分は加工食品に由来する.減塩は,公衆衛生の改善に向けた重要な目標となる可能性がある.

方 法

人口全体で,塩分摂取量を最高 1 日 3 g(ナトリウム換算で 1 日 1,200 mg)減らすという達成可能な減塩による利益を,冠動脈疾患政策モデル(Coronary Heart Disease Policy Model)を用いて定量した.また,年齢・性別・民族で定義したサブグループにおける心血管疾患の発生率とそれに関連する費用の推定,減塩の効果と心血管疾患リスク低下を目的としたそのほかの介入の効果との比較,高血圧の薬物療法と比較した減塩の費用対効果の評価を行った.

結 果

1 日 3 g の減塩により,心血管イベントの年間新規発生数は冠動脈疾患が 60,000~120,000 件,脳卒中が 32,000~66,000 件,心筋梗塞が 54,000~99,000 件減少し,全死因死亡は年間で 44,000~92,000 件減少すると予測される.利益は全人口区分が受けると予測され,黒人は利益を受ける割合が相対的に高く,女性はとくに脳卒中減少による利益,高齢者は冠動脈疾患イベント減少による利益,若年成人は死亡率低下による利益を受ける.減塩による心血管系への利益は,人口全体で喫煙率,肥満率,コレステロール値を低下させた場合の利益と同等である.1 日 3 g の減塩を達成するための介入により,年間に質調整生存年数 194,000~392,000 年の損失が回避され,医療費は 100 億~240 億米ドル削減される.このような介入は,仮に 1 日 1 g という少量の減塩を 2010~19 年に徐々に達成した場合でも医療費の削減をもたらし,また,高血圧患者すべてに降圧薬を用いるより費用対効果が高いと考えられる.

結 論

塩分摂取を少量でも減らすことで心血管イベントと医療費が大幅に減少する可能性があることから,これを公衆衛生の目標とすべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 590 - 9. )