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July 8, 2010 Vol. 363 No. 2

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テストステロン投与に関連する有害事象
Adverse Events Associated with Testosterone Administration

S. Basaria and Others

背景

テストステロン補充は,健常な高齢男性の筋量と筋力を増加させることが明らかになっている.運動に制限のある高齢男性に対するテストステロン療法の安全性と有効性はこれまで検討されていない.

方 法

65 歳以上で,運動に制限があり,血清総テストステロン値 100~350 ng/dL(3.5~12.1 nmol/L)または血清遊離テストステロン値 50 pg/mL(173 pmol/L)未満である試験実施地域在住の男性を,プラセボゲル群とテストステロンゲル群のいずれかに無作為に割り付け,6 ヵ月間 1 日 1 回塗布した.有害事象は,国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)に基づいて分類した.テストステロン群では心血管系の有害事象の発生率がプラセボ群に比べて有意に高かったため,データ・安全性モニタリング委員会は試験の早期中止を勧告した.

結 果

試験終了時には 209 例の男性(平均年齢 74 歳)が登録されていた.ベースラインでの高血圧症,糖尿病,高脂血症,肥満の有病率は高かった.試験期間中,テストステロン群では心症状,呼吸器症状,皮膚症状の発生率がプラセボ群に比べて高かった.心血管系の有害事象は,プラセボ群では 5 例に発生したのに対し,テストステロン群では 23 例に発生した.心血管系の有害事象の相対リスクは 6 ヵ月の治療期間を通じて一定していた.テストステロン群では,レッグプレスとチェストプレスの負荷強度,荷物を持ちながらの階段昇降にプラセボ群に比べて有意に大きな改善が認められた.

結 論

運動に制限があり慢性疾患の有病率が高い今回の高齢男性集団においては,テストステロンゲルの塗布は心血管系の有害事象のリスク増加と関連することが示された.この試験の規模は小さく,特異的集団を対象としていたことから,テストステロン療法の安全性について推論を拡張することはできない.(ClinicalTrials.gov 番号: NCT00240981)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 109 - 22. )