September 23, 2010 Vol. 363 No. 13
ノルウェーにおけるマンモグラフィ検診の乳癌死亡率への効果
Effect of Screening Mammography on Breast-Cancer Mortality in Norway
M. Kalager and Others
マンモグラフィ検診による乳癌死亡率への効果を定量するうえでの課題は,妥当な対照群を設定することである.ヒストリカルコントロール群が使用される場合もあるが,乳癌への認識の高まりや治療の進歩に伴う時代傾向は考慮されていない.
ノルウェーの乳癌検診プログラムは 1996 年に開始され,その後 9 年間で対象地域が拡大された.50~69 歳の女性に 2 年ごとにマンモグラフィ検診が提供された.罹患に基づく乳癌死亡率を以下の 4 群で比較した;1996~2005 年に検診実施県(county)に居住していた女性(検診群)または検診非実施県に居住していた女性(非検診群)の 2 つの最近群と,これらの群と類似した例を抽出した 1986~95 年の 2 つのヒストリカル対照群.
乳癌女性 40,075 例のデータを解析した.死亡率は,検診群のほうがヒストリカル検診群より 100,000 人年あたり 7.2 少なく(率比 0.72,95%信頼区間 [CI] 0.63~0.81),非検診群ではヒストリカル非検診群よりも 100,000 人年あたり 4.8 少なくなっており(率比 0.82,95% CI 0.71~0.93)(両比較について P<0.001),検診群の死亡率の相対的減少は 10%であった(P=0.13).したがって,検診のみに起因すると考えられる最近群とヒストリカル群との死亡率の低下の差は,100,000 人年あたり 2.4,すなわち全体の低下 7.2 の 1/3 を占めた.
マンモグラフィ検診の可用性は乳癌死亡率の低下と関連していたが,検診そのものによる寄与は低下全体の約 1/3 にすぎなかった.(ノルウェーがん登録,ノルウェーリサーチカウンシルから研究助成を受けた.)