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July 8, 2010 Vol. 363 No. 2

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中高年男性における晩発型性腺機能低下症の同定
Identification of Late-Onset Hypogonadism in Middle-Aged and Elderly Men

F.C.W. Wu and Others

背景

男性における加齢に伴うテストステロン欠乏と晩発型性腺機能低下症との関連は,いまだに議論のある概念である.われわれは,一般集団における晩発型性腺機能低下症を,症状とテストステロン低値の関連をもとに同定するためのエビデンスに基づく診断基準を検討した.

方 法

欧州の 8 施設において,40~79 歳の男性 3,369 例から成る無作為標本を調査した.質問票を用いて,対象者の全般的健康,性的健康,身体的健康,精神的健康に関するデータを収集した.総テストステロン値は,朝採取した血液検体から質量分析法により測定し,遊離テストステロン値は Vermeulen 公式を用いて算出した.導出セットと確証的分析を行うための検証セットにデータを無作為に振り分けた.

結 果

導出セットでは,早朝勃起の減少,性欲低下,勃起不全,激しい運動の遂行不能,抑うつ,倦怠感の症状が,テストステロン値と有意に関連していた.3 つの性的症状や身体的活力低下の確率の上昇は,テストステロン値の低下(総テストステロン値 8.0~13.0 nmol/L [2.3~3.7 ng/mL],遊離テストステロン値 160~280 pmol/L [46~81 pg/mL])により識別が可能であった.しかし,3 つの性的症状のみが,テストステロン値の低下と症候群としてまとまって関連していた.性的症状の増加とテストステロン値の低下とのあいだに,逆相関の関係があることが認められた.これらの関係は,検証セットにおいて独立して確認され,症状とテストステロン低値の関連の強さから,晩発型性腺機能低下症の同定に必要な最低限の診断基準が決定された.

結 論

晩発型性腺機能低下症は,3 つ以上の性的症状が存在することと,総テストステロン値が 11 nmol/L [3.2 ng/mL] 未満であること,遊離テストステロン値が 220 pmol/L [64 pg/mL] 未満であることにより定義が可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 123 - 35. )