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October 14, 2010 Vol. 363 No. 16

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周産期ネビラピン曝露歴のある小児における抗レトロウイルス療法
Antiretroviral Treatment for Children with Peripartum Nevirapine Exposure

P. Palumbo and Others

背景

医療資源が限られた環境において,ネビラピン単回投与はヒト免疫不全ウイルス(HIV)の母子感染予防レジメンに不可欠であるが,予防にもかかわらず感染した母子では,ネビラピンにより耐性ウイルスが発現する頻度が高い.ネビラピン単回曝露歴のある児に対する最適な抗レトロウイルス療法は明らかにされていない.

方 法

アフリカの 6 ヵ国において,生後 6~36 ヵ月の HIV 感染児で,世界保健機関(WHO)の基準により治療対象とされた児に,ジドブジン+ラミブジンに,ネビラピン,もしくはリトナビルでブーストしたロピナビルを追加する初回治療を行う無作為化試験を実施した.予防的ネビラピン単回曝露歴のある児を含むコホート集団の結果を報告する.主要エンドポイントは,試験 24 週目までのウイルス学的失敗または治療中止とした.このコホート集団の登録は,データ・安全性モニタリング委員会の勧告により早期に中止された.

結 果

計 164 例の小児を登録した.CD4+リンパ球の割合の中央値は 19%であり,56%が WHO 分類で病期 III または IV であった.主要エンドポイントに達した児は,ネビラピン群のほうがリトナビルでブーストしたロピナビル群より多かった(39.6% 対 21.7%,加重回帰分析による差 18.6 パーセントポイント,95%信頼区間 3.7~33.6,名目的 P=0.02).ベースラインでネビラピン耐性は 148 例中 18 例(12%)で検出され,これは治療失敗を予測した.有害事象の発生率には両群間で有意差は認められなかった.

結 論

HIV 感染予防のための周産期ネビラピン単回投与歴のある児に対しては,ジドブジン+ラミブジンにリトナビルでブーストしたロピナビルを追加した抗レトロウイルス療法のほうが,ジドブジン+ラミブジンにネビラピンを追加した療法よりも良好な転帰が得られた.ネビラピンは,医療資源が限られた環境では HIV 感染の治療と周産期予防のいずれにも用いられていることから,HIV の治療だけでなく,母子感染予防にも用いることのできる代替戦略が早急に必要とされる.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00307151)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1510 - 20. )