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October 28, 2010 Vol. 363 No. 18

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非小細胞肺癌における未分化リンパ腫キナーゼの阻害
Anaplastic Lymphoma Kinase Inhibition in Non-Small-Cell Lung Cancer

E.L. Kwak and Others

背景

非小細胞肺癌のサブグループでは,EML4 と未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)から成る発癌性融合遺伝子が認められ,この遺伝子は非小細胞肺癌の 2~7%で生じる.ALK チロシンキナーゼの経口低分子阻害薬クリゾチニブ(crizotinib)(PF-02341066)の初期段階の臨床試験で,このような腫瘍に対する ALK 阻害の治療有効性を検討した.

方 法

非小細胞肺癌患者約 1,500 例の腫瘍検体について ALK 再構成の有無を検討するためのスクリーニングを行い,この臨床試験に適格な ALK 陽性進行癌患者 82 例を同定した.大部分の患者に治療歴があった.これらの患者を,クリゾチニブの第 1 相用量漸増試験で推奨用量 250 mg 1 日 2 回 28 日サイクルが確立されたあとに開始された拡大コホート試験に登録した.有害事象と治療反応について患者を評価した.

結 果

ALK 再構成の認められた患者は,再構成の認められなかった患者に比べ年齢が低い傾向があり,大部分は喫煙歴がほとんどまたはまったくなく,腺癌を有していた.平均治療期間 6.4 ヵ月の時点での全奏効率は 57%(82 例中 47 例;部分奏効の確認 46 例,完全奏効の確認 1 例)であり,27 例(33%)で病勢安定(SD)が得られた.82 例中 63 例(77%)はデータカットオフ時点でクリゾチニブの投与を継続しており,6 ヵ月無増悪生存率は推定 72%であり,この試験での生存期間中央値には達していない.クリゾチニブにより,グレード 1 または 2(軽度)の消化器系の副作用が認められた.

結 論

ALK 再構成の認められる肺腫瘍において ALK を阻害すると,大部分の患者で腫瘍縮小または SD を得ることができた.(Pfizer 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00585195)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1693 - 703. )