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July 15, 2010 Vol. 363 No. 3

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2 型糖尿病における網膜症の進行に対する薬物療法の効果
Effects of Medical Therapies on Retinopathy Progression in Type 2 Diabetes

The ACCORD Study Group and ACCORD Eye Study Group

背景

われわれは,2 型糖尿病患者における糖尿病性網膜症の進行を,強化血糖コントロール,脂質異常症に対する薬剤併用療法,強化血圧コントロールにより抑制することが可能かどうかを検討した.これまでのデータでは,これらの全身性因子が糖尿病性網膜症の発症や進行に重要な役割を果たす可能性が示唆されている.

方 法

無作為化試験において,心血管疾患リスクが高い 2 型糖尿病患者 10,251 例を登録した.参加者には強化血糖コントロール(目標糖化ヘモグロビン値 6.0%未満)または標準血糖コントロール(7.0~7.9%)を行った.このうち,脂質異常症患者に対してはその強化治療(フェノフィブラート 160 mg 1 日 1 回+シンバスタチン)または標準的治療(プラセボ+シンバスタチン)を行い,それ以外の患者に対しては収縮期血圧の強化コントロール(目標値 120 mmHg 未満)または標準コントロール(140 mmHg 未満)を行った.2,856 例から成るサブグループを対象に,これらの介入が,4 年の時点での糖尿病性網膜症早期治療研究重症度スケール(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Severity Scale;7 方向の立体眼底写真を 17 段階で評価.段階が高いほど重症度が高いことを示す)における糖尿病性網膜症の 3 段階以上の進行,またはレーザー光凝固術や硝子体切除術を要する糖尿病性網膜症の発症に及ぼす効果について評価した.

結 果

4 年の時点での糖尿病性網膜症の進行率は,強化血糖コントロール群で 7.3%であったのに対し,標準血糖コントロール群では 10.4%であった(補正オッズ比 0.67,95%信頼区間 [CI] 0.51~0.87,P=0.003).脂質異常症に対しフェノフィブラートを併用した群での進行率は 6.5%であったのに対し,プラセボを投与した群では 10.2%であった(補正オッズ比 0.60,95% CI 0.42~0.87,P=0.006).強化血圧コントロール群での進行率は 10.4%であったのに対し,標準血圧コントロール群では 8.8%であった(補正オッズ比 1.23,95% CI 0.84~1.79,P=0.29).

結 論

糖尿病性網膜症の進行率は,強化血糖コントロールと,脂質異常症に対する薬剤併用療法により低下したが,強化血圧コントロールによる低下は認められなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかより研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00000620 [ACCORD study],NCT00542178 [ACCORD Eye study])

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 233 - 44. )