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December 16, 2010 Vol. 363 No. 25

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北京における 2009 年 H1N1 ワクチンの安全性と有効性
Safety and Effectiveness of a 2009 H1N1 Vaccine in Beijing

J. Wu and Others

背景

2009 年 9 月に最初の 2009 年パンデミックインフルエンザ A(H1N1)1 価ワクチンが入手できるようになり,中国当局は北京で集団予防接種プログラムを実施した.われわれは,このワクチンの安全性と有効性を評価した.

方 法

2009 年 9 月の 5 日間で計 95,244 人の小児と成人が,赤血球凝集素抗原 15 μg を含有し,アジュバントを含まない 1 価のスプリットビリオンワクチンである PANFLU.1 ワクチン(Sinovac Biotech 社)の接種を受けた.日誌カードと電話調査を用いた強化受動的サーベイランスシステムと能動的サーベイランスにより,ワクチン接種後の有害事象を評価した.市全域の病院で,神経疾患の能動的サーベイランスを行った.ワクチンの有効性を評価するため,集団予防接種の 2 週間後から,報告された 2009 年 H1N1 ウイルス感染の検査確定例の発生率を,ワクチンを接種した学生と接種していない学生とで比較した.

結 果

2009 年 12 月 31 日の時点で,有害事象はワクチン接種者 193 例で報告された.病院での能動的サーベイランスでは,集団予防接種後 10 週間以内に新規神経疾患 362 例が同定され,そのうち 27 例がギラン・バレー症候群であった.ワクチン接種者で神経疾患が発症した例はなかった.245 校で,25,037 人が集団予防接種に参加し,244,091 人が参加しなかった.2009 年 10 月 9 日~11 月 15 日における学生 100,000 人あたりの 2009 年 H1N1 ウイルス感染確定例発生率は,ワクチンを接種した学生で 35.9(25,037 人中 9 例),接種していない学生で 281.4(244,091 人中 687 例)であった.したがって,ワクチン有効率は 87.3%(95%信頼区間 75.4~93.4)と推定された.

結 論

北京の小児と成人 95,244 例において,PANFLU.1 ワクチンは,季節性インフルエンザワクチンと同様の安全性プロファイルを示し,学齢児の H1N1 ウイルス感染確定例に対して有効と考えられた.(北京市衛生局から研究助成を受けた)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2416 - 23. )