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July 15, 2010 Vol. 363 No. 3

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体重管理を目的としたロルカセリンの多施設共同プラセボ対照試験
Multicenter, Placebo-Controlled Trial of Lorcaserin for Weight Management

S.R. Smith and Others

背景

選択的セロトニン 2C 受容体作動薬ロルカセリン(lorcaserin)は,体重の減量に有用である可能性がある.

方 法

この二重盲検試験において,肥満または過体重の成人 3,182 例(平均体格指数 [BMI,体重 kg/身長 m2] 36.2)を,ロルカセリン 10 mg 群とプラセボ群のいずれかに割り付け,投与を 1 日 2 回,52 週間行った.全例に食事と運動に関するカウンセリングを併せて行った.52 週の時点で,プラセボ群にはプラセボ投与を継続することとし,ロルカセリン群は改めてプラセボ群とロルカセリン群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は試験開始 1 年の時点における減量と,2 年の時点における減量の維持とした.経時的心エコー検査により,心臓弁膜症(米国食品医薬品局 [FDA] の定義による)を発症した患者を同定した.

結 果

1 年の時点で,ロルカセリン群 55.4%(1,595 例中 883 例),プラセボ群 45.1%(1,587 例中 716 例)が試験に残っていた.1,553 例が 2 年目に進んだ.1 年の時点でベースラインから 5%以上の減量が認められたのは,ロルカセリン群 47.5%,プラセボ群 20.3%であり(P<0.001),減量した体重の平均は,ロルカセリン群 5.8±0.2 kg,プラセボ群 2.2±0.1 kg であった(P<0.001).1 年目にロルカセリン投与を受け,ベースラインから 5%以上減量した患者のうち,2 年の時点で減量が維持されていた患者は,ロルカセリン投与を受けた患者(67.9%)のほうがプラセボ投与を受けた患者(50.3%)より多かった(P<0.001).1 年の時点で評価した 2,472 例,2 年の時点で評価した 1,127 例において,ロルカセリンの使用に伴う心臓弁膜症発症率の上昇は認められなかった.ロルカセリン投与でもっとも多く報告された有害事象は,頭痛,めまい,悪心であった.重篤な有害事象の発生率は 2 群で同程度であった.

結 論

ロルカセリン投与は,行動変容と同時に行えば,プラセボに比べ有意な減量と減量維持の改善に関連していた.(Arena Pharmaceuticals 社より研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00395135)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 245 - 56. )