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July 15, 2010 Vol. 363 No. 3

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ハイチの HIV 感染成人に対する抗レトロウイルス療法の開始時期:早期開始と標準的開始の比較
Early versus Standard Antiretroviral Therapy for HIV-Infected Adults in Haiti

P. Severe and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染し,CD4+ T 細胞数が 200 個/mm3 超 350 個/mm3 未満で,医療資源の限られた地域に居住する成人に対する,抗レトロウイルス療法の至適開始時期は明らかにされていない.

方 法

早期に開始する抗レトロウイルス療法と,標準的時期に開始する抗レトロウイルス療法を比較する無作為化非盲検試験を実施した.ハイチ在住の HIV 感染成人で,ベースラインの CD4+ T 細胞数が 200 個/mm3 超 350 個/mm3 未満であることが確認され,後天性免疫不全症候群(AIDS)疾患の既往のない患者を対象とした.主要エンドポイントは生存とした.早期開始群は,登録後 2 週間以内にジドブジン,ラミブジン,エファビレンツの投与を開始した.標準的開始群は,CD4+ T 細胞数が 200 個/mm3 以下に減少した時点,または AIDS 指標疾患を発症した時点で早期開始群と同じ抗レトロウイルス療法を開始した.両群とも毎月の追跡評価を受け,栄養補給とイソニアジド,トリメトプリム・スルファメトキサゾール合剤の予防投与を受けた.

結 果

2005~08 年に,各群 408 例,計 816 例を登録し,中央値 21 ヵ月間追跡した.登録時の CD4+ T 細胞数は,両群とも約 280 個/mm3 であった.死亡数は,標準的開始群では 23 例であったのに対し,早期開始群では 6 例であった(標準治療群のハザード比 4.0,95%信頼区間 [CI] 1.6~9.8,P=0.001).結核の発症件数は,標準的開始群 36 件に対し,早期開始群 18 件であった(ハザード比 2.0,95% CI 1.2~3.6,P=0.01).

結 論

抗レトロウイルス療法の早期開始により,死亡率と結核発症率が低下した.抗レトロウイルス療法の実施範囲は,医療資源の限られた地域に居住する,CD4+ T 細胞数が 350 個/mm3 未満の HIV 感染成人まで拡大する必要がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00120510)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 257 - 65. )