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August 12, 2010 Vol. 363 No. 7

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進行性特発性肺線維症におけるシルデナフィルの対照試験
A Controlled Trial of Sildenafil in Advanced Idiopathic Pulmonary Fibrosis

The Idiopathic Pulmonary Fibrosis Clinical Research Network

背景

ホスホジエステラーゼ 5 阻害薬であるシルデナフィルは,進行性特発性肺線維症患者において,換気が良好な肺領域への血流を選択的に改善し,それによりガス交換が改善される可能性がある.われわれは,シルデナフィル投与により進行性特発性肺線維症患者の歩行距離,呼吸困難,QOL が改善されるという仮説を検証した.進行性特発性肺線維症の定義は,一酸化炭素拡散能が予測値の 35%未満であることとした.

方 法

2 期間で構成されるシルデナフィルの二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した.第 1 期は 12 週間の二重盲検試験で,患者をシルデナフィル群とプラセボ群に割り付けて比較した.主要転帰は 6 分間歩行距離が 20%以上延長した患者の割合とした.主要副次的転帰は,動脈血酸素化,呼吸困難の程度,QOL の変化などとした.第 2 期は 12 週間の非盲検試験で,全例にシルデナフィルを投与し,評価を行った.

結 果

180 例を試験に登録した.主要転帰に有意な差は認められず,6 分間歩行距離が 20%以上改善したのは,シルデナフィル群 89 例中 9 例(10%),プラセボ群 91 例中 6 例(7%)であった(P=0.39).動脈血酸素化,一酸化炭素拡散能,呼吸困難の程度,QOL には小さいが有意な差が認められ,シルデナフィル群のほうが良好な結果を示した.重篤な有害事象の発生は両群で同程度であった.

結 論

この試験では,主要転帰に関してシルデナフィルの有益性は示されなかった.一部の副次的転帰では良好な結果が得られたことから,さらなる研究が必要とされる.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00517933)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 620 - 8. )