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August 12, 2010 Vol. 363 No. 7

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早期ホジキンリンパ腫患者に対する治療強度の低減
Reduced Treatment Intensity in Patients with Early-Stage Hodgkin's Lymphoma

A. Engert and Others

背景

予後良好な早期(病期 I または II)のホジキンリンパ腫に対して,治療強度を低減できるかどうかは依然として明らかになっていない.われわれは多施設共同無作為化試験において,強度の異なる 2 つの併用化学療法レジメンを施行し,その後 2 つの照射量で患部に放射線照射を行う 4 つの投与群を比較した.

方 法

新たに早期ホジキンリンパ腫と診断された予後良好の患者 1,370 例を,次の 4 つの投与群のいずれかに無作為に割り付けた;ドキソルビシン,ブレオマイシン,ビンブラスチン,カルバジン(ABVD)を 4 サイクル投与後に 30 Gy の放射線照射を行う群(第 1 群),ABVD を 4 サイクル投与後に 20 Gy の放射線照射を行う群(第 2 群),ABVD を 2 サイクル投与後に 30 Gy の放射線照射を行う群(第 3 群),ABVD を 2 サイクル投与後に 20 Gy の放射線照射を行う群(第 4 群).主要エンドポイントは治療失敗がないこととし,副次的エンドポイントは治療の有効性および毒性とした.

結 果

2 つの化学療法レジメンでは,治療失敗なし(P=0.39)と全生存率(P=0.61)に有意差はなかった.5 年の時点で治療失敗なしと認められた比率は,ABVD レジメン 4 サイクル投与群で 93.0%(95%信頼区間 [CI] 90.5~94.8),2 サイクル投与群で 91.1%(95% CI 88.3~93.2)であった.放射線療法の有効性を 20 Gy と 30 Gy で比較すると,治療失敗なし(P=1.00)と全生存率(P=0.61)に有意差はなかった.治療による有害事象と急性毒性作用は,ABVD を 4 サイクル,30 Gy の放射線照射を受けた患者(第 1 群)でもっとも頻度が高かった.

結 論

予後良好な早期ホジキンリンパ腫患者では,ABVD を 2 サイクル投与後に 20 Gy の放射線照射を行う治療は,ABVD を 4 サイクル投与後に 30 Gy の放射線照射を行う治療と比較して,有効性は同等であったが,毒性は低かった.これらの治療による長期の効果はまだ十分に評価されていない.(Deutsche Krebshilfe,スイス連邦政府から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00265018)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 640 - 52. )