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August 26, 2010 Vol. 363 No. 9

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転移性黒色腫における変異活性化 BRAF の阻害
Inhibition of Mutated, Activated BRAF in Metastatic Melanoma

K.T. Flaherty and Others

背景

大部分の黒色腫では,セリン-スレオニン蛋白キナーゼである B-RAF(BRAF)をコードする遺伝子の体細胞変異を同定することで,癌遺伝子標的療法を検証する機会が得られる.

方 法

BRAF 変異の経口阻害薬である PLX4032(RG7204 としても知られる)の多施設共同第 1 相用量漸増試験を行い,その後,延長相に有害作用を引き起こすことなく投与できる最大用量(第 2 相の推奨用量)の試験を行った.疾患が進行するまで,PLX4032 を 1 日 2 回投与した.全患者に,薬物動態解析と腫瘍への反応退縮効果の評価を実施した.一部の患者において,治療前と治療中に腫瘍生検を行い,BRAF 阻害を検証した.

結 果

55 例(うち 49 例は黒色腫)を用量漸増試験に登録し,延長相には新たに V600E BRAF 変異を有する転移性黒色腫患者 32 例を登録した.グレード 2 または 3 の発疹,疲労,関節痛による用量制限にて,第 2 相試験の推奨用量は 960 mg を 1 日 2 回とした.用量漸増コホートでは,V600E BRAF 変異を有し,PLX4032 240 mg 以上を 1 日 2 回投与した黒色腫患者 16 例のうち,10 例で部分寛解,1 例で完全寛解が得られた.延長コホートの 32 例では,24 例で部分寛解,2 例で完全寛解が得られた.全例で推定無増悪生存期間の中央値は 7 ヵ月を超えた.

結 論

V600E BRAF 変異を有する転移性黒色腫への PLX4032 療法により,大部分の患者で腫瘍の完全退縮または部分退縮が認められた.(Plexxikon 社,Roche Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 809 - 19. )