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August 26, 2010 Vol. 363 No. 9

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米国における小児の過少保険
Underinsurance among Children in the United States

M.D. Kogan and Others

背景

近年,小児の健康保険に関する政策のなかで,保険加入の拡大への関心が高まっている.保険が小児のニーズを十分満たしているのかという疑問については,ほとんど注意は向けられてこなかった.

方 法

2007 年の全米小児健康調査(National Survey of Children' s Health)のデータ(標本サイズ:91,642 人)に基づき,米国の小児における過少保険について推定した.この調査では,小児が必要とする医療サービスや医療提供者について保険適用がなされていたかどうか,また費用に対する保険適用が妥当であったかどうかを,親または保護者が判断した.保険適用の妥当性に関するデータを保険加入の継続性に関するデータと組み合わせ,小児を次のように分類した;過去 1 年間に,「一度も保険に加入していなかった」,「保険に加入していない期間があった」,「継続して保険に加入していたが適用が不十分であった(一部保険)」,「継続して保険に加入しており適用が十分であった」.この分類と医療へのアクセスと質に関する以下の 5 つの全般的指標のあいだの関連性を検討した;「ケアを受けるのが遅かった,またはケアを受けなかった」「必要とするケアを専門医から受けるのが困難であった」,「予防的ケアを受けなかった」,「予防的ケアのための受診時に発達スクリーニングを受けなかった」,「ケアがメディカルホームの規準を満たしていなかった」.

結 果

1,100 万人の小児が 2007 年の全期間または一部期間保険に加入しておらず,継続して保険に加入していた小児の22.7%,すなわち 1,410 万人は過少保険であったと推定された.年長の小児,ヒスパニック系の小児,健康状態が普通または悪い小児,特別な医療ニーズのある小児のほうが,過少保険である傾向があった.継続して保険に加入し適用が十分な小児に比べ,無保険または過少保険である小児のほうが,医療へのアクセスと質に問題を有する傾向があった.

結 論

過少保険である小児の数は,調査した年の全期間または一部期間,無保険であった小児の数を上回った.医療へのアクセスと医療の質は,無保険または過少保険の小児において不十分であった.(米国保健資源事業局から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 841 - 51. )