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March 24, 2011 Vol. 364 No. 12

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慢性閉塞性肺疾患の増悪の予防を目的としたチオトロピウムとサルメテロールの比較
Tiotropium versus Salmeterol for the Prevention of Exacerbations of COPD

C. Vogelmeier and Others

背景

治療ガイドラインでは,中等症~最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の症状を緩和し増悪リスクを低下させるために,長時間作用型吸入気管支拡張薬を用いることが推奨されているが,長時間作用型抗コリン薬とβ2 刺激薬のどちらが望ましいかは明らかにされていない.われわれは,COPD 増悪の予防において,抗コリン薬チオトロピウムがβ2 刺激薬サルメテロールより優れているかどうかを検討した.

方 法

1 年間の無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間比較試験において,中等症~最重症の COPD で前年に増悪の既往がある患者を対象に,中等度または重度の増悪の発生に対する,チオトロピウム 18 μg 1 日 1 回投与とサルメテロール 50 μg 1 日 2 回投与の効果を比較した.

結 果

7,376 例をチオトロピウム投与群(3,707 例)とサルメテロール投与群(3,669 例)のいずれかに無作為に割り付けた.チオトロピウム群ではサルメテロール群に比べ,増悪の初回発生までの期間が延長し(187 日 対 145 日),リスクが 17%低下した(ハザード比 0.83,95%信頼区間 [CI] 0.77~0.90,P<0.001).また,チオトロピウム群では重度増悪の初回発生までの期間も延長し(ハザード比 0.72,95% CI 0.61~0.85,P<0.001),年間の中等度または重度の増悪回数が減少し(0.64 対 0.72,率比 0.89,95% CI 0.83~0.96,P=0.002),年間の重度の増悪回数も減少した(0.09 対 0.13,率比 0.73,95% CI 0.66~0.82,P<0.001).全体として,重篤な有害事象の発現率と治療中止にいたった有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.チオトロピウム群で 64 例(1.7%),サルメテロール群で 78 例(2.1%)が死亡した.

結 論

今回の結果から,中等症~最重症の COPD 患者では,チオトロピウムのほうがサルメテロールより増悪の予防に有効であることが示される.(Boehringer Ingelheim 社,Pfizer 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00563381)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1093 - 103. )