The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 31, 2011 Vol. 364 No. 13

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ターナー症候群に対する成長ホルモンと小児期低用量エストロゲンの併用療法
Growth Hormone plus Childhood Low-Dose Estrogen in Turner's Syndrome

J.L. Ross and Others

背景

低身長と卵巣機能不全はターナー症候群の特徴である.ターナー症候群に関連する低身長の治療には一般的に組換え型ヒト成長ホルモンが用いられるが,このような治療により成人身長が高くなるかどうかを明らかにするには,無作為化プラセボ対照試験を行う必要がある.さらに,小児期のエストロゲン補充療法を成長ホルモンと併用することで,新たな利益があるかどうかは明らかにされていない.われわれは,ターナー症候群の女児を対象に,成長ホルモンと早期の超低用量エストロゲンを,単独で投与した場合と併用した場合の,成人身長に対する効果を検討した.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,5.0~12.5 歳の女児 149 例を,二重プラセボ群(プラセボ注射+小児期プラセボ経口投与,39 例),エストロゲン単独群(プラセボ注射+小児期低用量エストロゲン経口投与,40 例),成長ホルモン単独群(成長ホルモン注射+小児期プラセボ経口投与,35 例),成長ホルモン+エストロゲン群(成長ホルモン注射+小児期低用量エストロゲン経口投与,35 例)の 4 群に無作為に割り付けた.成長ホルモンの用量は 0.1 mg/kg 体重を週 3 回とした.エチニルエストラジオール(またはプラセボ)の用量は暦年齢と思春期の状態により調整した.12 歳を迎えて最初の受診時に,全例にエチニルエストラジオールの漸増投与を開始した.成長ホルモン注射は成人身長に達した時点で終了した.

結 果

平均試験期間 7.2±2.5 年,平均 17±1.0 歳での成人身長の平均標準偏差スコアは,二重プラセボ群 -2.81±0.85,エストロゲン単独群 -3.39±0.74,成長ホルモン単独群 -2.29±1.10,成長ホルモン+エストロゲン群 -2.10±1.02 であった(P<0.001).成長ホルモン投与の成人身長に対する全体的な効果(対プラセボ)は,身長の標準偏差スコアの 0.78±0.13 の上昇(5.0 cm)であり(P<0.001),成人身長は,成長ホルモン+エストロゲン群のほうが,成長ホルモン単独群より標準偏差スコアで 0.32±0.17(2.1 cm)高かったことから(P=0.059),エチニルエストラジオールと成長ホルモンとのあいだに若干の相乗効果があることが示唆された.

結 論

この試験から,ターナー症候群患者の成人身長は成長ホルモン治療により高くなることが示された.さらに今回のデータは,小児期の超低用量エストロゲンを成長ホルモンと併用することで成長が改善し,エストロゲン補充療法の早期開始によりさらなる有益性が得られる可能性があることを示唆している.(米国国立小児保健発達研究所,Eli Lilly 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00001221)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1230 - 42. )