急性呼吸促迫症候群後 5 年間の機能障害
Functional Disability 5 Years after Acute Respiratory Distress Syndrome
M.S. Herridge and Others
急性呼吸促迫症候群(ARDS)の生存患者における,詳細な対面面接と検査に基づく 5 年転帰に関する追跡データはほとんど得られていない.
ARDS の生存者 109 例において,集中治療室退室後 3,6,12 ヵ月と,2,3,4,5 年の時点で評価を行った.各来院時に,面接と診察,肺機能検査,6 分間歩行試験,安静時・労作時の酸素飽和度測定,胸部画像検査,QOL 評価を行い,医療サービスの利用について報告した.
5 年の時点で,6 分間歩行距離の中央値は 436 m(予測距離の 76%),36 項目の短縮版健康調査票(SF-36)における身体的健康度スコアの中央値は 41(年齢と性別をマッチさせた平均標準スコア 50)であった.このスコアについてはより若年の患者のほうが年長の患者より回復率が大きかったが,5 年の時点の身体機能は,いずれの群でも予測される正常値に戻っていなかった.肺機能は正常かほぼ正常であった.5 年間に,その他さまざまな身体的問題,心理的問題が,患者と家族介護者に発生・持続した.併存疾患が多い患者ほど,5 年間の費用負担が大きかった.
運動制限,持続する身体的・心理的問題,身体的 QOL の低下,費用と医療サービス利用の増加が,重症肺損傷後の重要な後遺症である.