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April 7, 2011 Vol. 364 No. 14

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黄熱に対する不活化細胞培養ワクチン
An Inactivated Cell-Culture Vaccine against Yellow Fever

T.P. Monath and Others

背景

黄熱は,アフリカと南米で発生する致死的なウイルス性出血熱である.黄熱流行地域への旅行者と住民には有効性の高い生ワクチン(17D)が広く用いられているが,このワクチンは,高い死亡率に関連する内臓疾患など,重篤な有害事象を引き起こす場合がある.より安全な非複製ワクチンが必要とされている.

方 法

二重盲検プラセボ対照用量漸増第 1 相試験において,18~49 歳の健常被験者 60 例を対象に,Vero 細胞培養で作製し,水酸化アルミニウム(ミョウバン)アジュバントに吸着させた精製全ウイルスβ-プロピオラクトン不活化黄熱ワクチン XRX-001 の安全性と免疫原性を検討した.0.48 μg または 4.8 μg の抗原を含むワクチンを 21 日間隔で 2 回筋肉内接種した.中和抗体価をベースライン,21 日目,31 日目,42 日目に測定した.

結 果

ワクチンによる中和抗体の出現率は,1 回あたり 4.8 μg の抗原を接種した群で 100%,1 回あたり 0.48 μg の抗原を接種した群で 88%であった.抗体価は 2 回目の接種から 10 日目までに上昇し,10 日目の抗体価は,4.8 μg 製剤群のほうが 0.48 μg 製剤群よりも有意に高かった(幾何平均抗体価 146 対 39,P<0.001).有害事象は軽度疼痛,圧痛,(はるかに低頻度であるが)注射部位瘙痒感の 3 つで,ワクチンを接種した 2 群でプラセボ群より高頻度に認められた.蕁麻疹が 1 例,4.8 μg ワクチンの 2 回目接種から 3 日目に認められた.

結 論

不活化黄熱抗原とミョウバンアジュバントを含む XRX-001 ワクチンを 2 回接種するレジメンにより,高い割合で中和抗体が誘導された.XRX-001 は,弱毒生ワクチン 17D に代わる,より安全なワクチンである可能性がある.(Xcellerex 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00995865)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1326 - 33. )