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April 28, 2011 Vol. 364 No. 17

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リンパ脈管筋腫症に対するシロリムスの有効性と安全性
Efficacy and Safety of Sirolimus in Lymphangioleiomyomatosis

F.X. McCormack and Others

背景

リンパ脈管筋腫症(LAM)は,女性にみられる進行性の嚢胞性肺疾患である.LAM は,細胞増殖とリンパ管新生を調節する哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)シグナル伝達の,不適切な活性化と関連している.シロリムス(ラパマイシンとも呼ばれる)は mTOR を阻害し,LAM 患者も対象に含まれた第 1~2 相試験では期待できる結果が示されている.

方 法

中等度の肺機能障害を有する LAM 患者 89 例を対象に,シロリムスとプラセボの無作為化二重盲検比較を 12 ヵ月間行い,その後 12 ヵ月間観察する 2 段階の試験を行った.主要エンドポイントは,1 秒量(FEV1)の変化率(勾配)の群間差とした.

結 果

治療期間中のFEV1 の勾配は,プラセボ群(43 例)-12±2 mL/月,シロリムス群(46 例)1±2 mL/月であった(P<0.001).治療期間中の FEV1 の変化(平均)の群間差の絶対値は 153 mL であり,登録時の平均 FEV1 の約 11%であった.シロリムス群では,ベースラインから 12 ヵ月までに,プラセボ群と比較して,努力性肺活量,機能的残気量,血清血管内皮増殖因子 D(VEGF-D)濃度,QOL・機能的能力スコアが改善した.同期間の 6 分間歩行距離と一酸化炭素肺拡散能の変化には,有意な群間差は認められなかった.投与中止後,シロリムス群では肺機能が再び低下し始め,プラセボ群と平行して低下した.有害事象はシロリムス群でより多く発生したが,重篤な有害事象の頻度に 2 群間で有意差は認められなかった.

結 論

LAM 患者において,シロリムスは肺機能の安定化と血清 VEGF-D 濃度の低下をもたらし,症状軽減と QOL 向上にも関連していた.シロリムスによる治療は,特定の LAM 患者に有用である可能性がある.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.MILES ClinicalTrials.gov 番号:NCT00414648)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1595 - 606. )