アフリカ人における A 群髄膜炎菌結合型ワクチンの免疫原性と安全性
Immunogenicity and Safety of a Meningococcal A Conjugate Vaccine in Africans
S.O. Sow and Others
A 群髄膜炎菌は,アフリカにおける髄膜炎の大規模流行の原因である.入手可能な価格で免疫原性の高い A 群髄膜炎菌結合型ワクチンが必要とされている.
アフリカで,新規 MenA 結合型ワクチン(PsA-TT)を評価する,2 つの試験を行った.試験 A では,生後 12~23 ヵ月の小児 601 例を,PsA-TT 接種群,参照ワクチンである 4 価多糖体ワクチン(PsACWY)接種群,対照ワクチン(インフルエンザ菌 [Haemophilus influenzae] b 型結合型ワクチン [Hib-TT])接種群のいずれかに無作為に割り付けた.10 ヵ月後,これらの小児を各群内で再度無作為化して,PsA-TT 全量,PsACWY 全量の 1/5 量,Hib-TT 全量のいずれかを接種した.この追加接種は,最初の参加者のうち 589 例が受けた.試験 B では,2~29 歳の被験者 900 例を PsA-TT 群と PsACWY 群に無作為に割り付けた.安全性と反応原性を評価し,ウサギ補体を用いた A 群血清殺菌抗体(SBA)の活性測定と A 群特異的 IgG 酵素免疫測定法により,免疫原性を評価した.
試験 A では PsA-TT 群の 96.0%と PsACWY 群の 63.7%において,SBA 力価がベースライン値より 4 倍以上高かった.試験 B では PsA-TT 群の 78.2%と PsACWY 群の 46.2%において,SBA 力価がベースライン値より 4 倍以上高かった.PsA-TT 群における SBA 力価の幾何平均は,PsACWY 群と比べて,試験 A で 16 倍,試験 B で 3 倍高かった(P<0.001).試験 A では,40 週の時点での抗体価は PsA-TT 群のほうが PsACWY 群より高く,多糖体ワクチン追加接種後に明らかな免疫記憶が認められた.安全性プロファイルは全群で類似していたが,PsA-TT 接種者では PsACWY 接種者に比べ,ワクチン接種部位の圧痛と硬結の発現頻度が高かった.有害事象は,試験対象地域における年齢別罹患疾患と一致した.重篤なワクチン関連有害事象は報告されなかった.
PsA-TT ワクチンによって,PsACWY ワクチンよりも強い A 群抗体反応が誘導された.(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の助成金を通して髄膜炎ワクチンプロジェクトから研究助成を受けた.Controlled-Trials.com 番号:ISRCTN78147026,ISRCTN87739946)